のぼる 原子力規制委員会が、関西電力の高浜、大飯、美浜の3原発を基準不適合として再審査を申請するよう命じたね。
晴男 不適合って、火山灰の厚さの想定だってね。関電自身が、これまで最大10センチの想定が2倍程度になると評価したのだろう。想定が変わるのだから、審査を受けるのは当然だ。関電は審査を申請しないと最初は突っぱねた。
噴火規模の調査
のぼる それだけじゃない。関電は、火山灰の新たな評価をすることももともと拒否していた。
晴男 そうなのか。
のぼる もともと規制委の委託研究で、大山の約8万年前の噴火の規模が審査時の想定より大きくなる可能性が指摘された。それで規制委は2年前、関電に情報収集を依頼したんだ。
晴男 2年も前にか。
のぼる でも関電は、新知見として採用できないと主張し、規制委と公開で議論したけれど、結局合意できなかった。
“安全を値切る”
晴男 元規制委委員長代理の島崎邦彦さんが、電力会社の“安全を値切る”姿勢を批判していたが、ここでもその姿勢が貫かれているね。
のぼる それで、規制委は大山から190キロ離れた京都市内の火山灰層を25センチと評価した。それを踏まえ噴火の規模を見積もることと、その規模で噴火した場合の3原発での火山灰の厚さを評価するよう関電に指示した。
晴男 それで出した評価が、高浜原発で21・9センチ、大飯原発で19・3センチ、美浜原発で13・5センチだったわけか。審査を申請し直さないとした理由は。
のぼる 8万年前の噴火の規模はこれまでの想定の約10倍と見積もられた。それで関電は、このような規模の噴火が、原発の運用期間中に大山で起きる「可能性は十分低い」と主張したんだ。
晴男 規模が大きくなると起きないと無視しているのは、おかしい。それで規制委は命令を出したのか。
のぼる でも規制委は、不適合なのに、噴火が差し迫った状況にはないとかいって、関電の原発を止める必要はないと言っている。
晴男 東京電力福島第1原発事故前の東電も津波は起こらないと決めつけて対策を怠った。停止すべきだよ。
(「しんぶん赤旗」2019年6月29日より転載)