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「基盤の電源」事故に無反省・・「エネ基本計画」、「原発ゼロ」の世論に背(鈴木剛)

経済産業省が、福島原発事故後初となる新しいエネルギー基本計画の原案をまとめました。原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置付け「必要とされる規模」を確保するとして、「原発ゼロの日本」を求める国民世論に背を向けて原発利用に固執する姿勢をあらわにしています。パブリックコメント(意見公募)を経て、1月中に閣議決定しようとしています。
(鈴木剛)

エネルギー基本計画は、エネルギー政策基本法に基づき、エネルギー政策の中長期的方針・計画を定めるもので、3年ごとに見直されます。現行計画(2010年6月閣議決定)では、2030年までに原発を14基以上増やし電力の原発比率を5割に引き上げるとしていました。

しかし、翌年の福島原発事故で計画は土台から崩れました。原発の危険性があらわになり、国民の多くが原発ゼロを求めるようになりました。首相官邸前や各地で再稼働反対・原発ゼロを求める行動が続き、新増設どころか、いまや稼働している原発は一つもありません。

政府も「国民の過半は原発に依存しない社会の実現を望んでいる」と認め、いったんは「2030年代原発稼働ゼロ」を口にせざるをえませんでした。

新増設に道開く

ところが安倍政権は、それを一方的に投げ捨てて、原発を推進しようとしています。

計画案は、原発をめぐる国民的議論を「真摯(しんし)に受け止めなければならない」としつつ、なんら議論の検証をすることなく、原発推進の計画を展開します。

原発を「優れた安定供給性と効率性」があり、「運転コストが低廉」で「温室効果ガスの排出もない」ともちあげ、「安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性を支える基盤となる重要なベース電源として引き続き活用していく」と位置付けています。量的にも、必要とされる「規模を確保する」として、将来にわたって原発を手放さないことを明記し、建て替えや新増設への道を開いています。

また、「新規制基準の下で原子力規制委員会によって安全性が確認された」原発の再稼働を進めるだけでなく、原発稼働によって増え続ける使用済み核燃料を保管するために中間貯蔵施設を建設するなど貯蔵能力の強化もうたっています。

核燃料サイクルについても、推進が「基本的方針」だとして、プルサーマル、再処理工場など「着実に進める」としました。原発輸出では、事故を踏まえて「安全性を高めた原子力技術を提供」するとまで意義付けました。

収束の展望なく

計画案に示された中身は、理屈を含めて旧態依然のものであり、福島原発事故への反省はみじんも感じられません。

原発推進を掲げる計画案の最大の矛盾は、被害が広がりつづける福島原発事故の現実です。福島の再生・復興の取り組みが「エネルギー政策再構築の出発点」だとしながら、収束・復興の展望を示すことができません。いまなお約14万人が避難生活を強いられ、放射能汚染水の流出もとまらず、事故収束には程遠い状況です。

計画案は、各所で「安全性の確保を大前提に」と強調します。しかし、福島原発事故は、現実の原発では安全性を確保しえないことを示しました。新規制基準を満たしても、重大事故時のベント(排気)による敷地境界での全身被ばく線量は数百ミリシーベルトになると、東京電力も試算しています。

原発は、安全性を前提にできるものではなく、事故対策を考慮すれば安い電源でもありません。計画案は冒頭で、「責任あるエネルギー政策」を講じるとしていますが、こんな原発を推進することこそ、無責任なエネルギー政策です。

計画案は、福島原発事故や安全神話について「反省」を表明しています。本当に反省するならば、求められるのは「原発ゼロ」の決断です。それが国民世論にこたえる道です。
(党原発・エネルギー問題対策委員会)

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