原子力規制委 泊審査さらに長期化・・北電に追加資料を要求
原子力規制委員会は5月15日、北海道電力の泊原発3号機(泊村)について、今後の審査に当たって敷地内の断層評価などについて取りまとめた資料の提出を北海道電に求めることを決めました。規制委の更田(ふけた)豊志委員長は、原発本体の審査について「少なくとも1年間ぐらいは始められる状況にない」と語りました。審査はさらに長期化しそうです。
泊原発は、北海道電が2013年7月8日に設置変更許可を申請し、6年近く審査が続けられています。しかし、敷地内断層が活断層であることを否定する根拠としていた火山灰層について、規制委側が追加調査を求めたところ、根拠となった火山灰層が見つかりませんでした。
規制委は今年2月、敷地内断層が「活断層の可能性が否定できない」との見解を表明。北海道電は先月、さらなる追加調査を行うとしていました。
泊原発をめぐっては、断層などの評価が二転、三転していることから、原発本体の審査は16年10月以降、約2年半行われていません。
規制委は23日に北海道電の幹部と意見交換を行う予定で、追加調査の計画や報告時期について聞く見通しです。
国の汚染水処理対策委・・低減目標「緩い」の声も
東京電力福島第1原発の汚染水問題について検討する国の汚染水処理対策委員会が5月14日開かれ、「汚染水発生量のさらなる低減」に向けた方針や地下水位や放射性物質の監視体制をいっそう拡充するよう東電に求めました。出席者から、東電と国の中長期行程表(ロードマップ)で2020年内に新たな汚染水発生量を1日当たり150トン程度に抑制する目標について「緩い」などの意見がありました。
委員会の開催は昨年3月から1年2カ月ぶりで、汚染水処理対策の現状や課題を話し合いました。東電は汚染水の発生量は、15年度で1日当たり約490トンだったのが18年度は同約170トンに低減したと説明。今後は降雨の土壌浸透を抑える敷地舗装や、雨水対策で1~3号機の建屋屋根破損箇所の補修などをすすめ、平均的な降雨条件で、20年内に同150トン程度に抑えることが「達成できる見込み」と報告しました。課題では、津波対策として各建屋の122カ所の開口部の閉止対策を21年度末に完了するとしています。
福島県の高坂潔・原子力総括専門員は会合で、汚染水発生量の中長期目標について、「1日150トンなら7日間で1000トンタンク1基分になる。国を挙げて推進している汚染水対策の目標として緩い」と述べ、目標の数値をもっと少なく設定してほしいと要望しました。原子力規制庁の担当者は「液体の放射性物質はリスクが高い。速やかに除去するのが大方針。『さらなる低減』でなく、大幅に低減する策を」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2019年5月16日より転載)