関西、九州、四国の電力3社は4月17日、原発の新規制基準で設置が義務づけられた航空機衝突などのテロ対策施設「特定重大事故対処施設」について、設置期限に間に合わないとの見通しを原子力規制委員会との意見交換会で示し、期限延長などの対応を求めました。
期限内に完成しなければ法令違反となり、規制委は運転停止などの措置を命じることができます。規制委は今後、定例会合で対応を検討します。
テロ対処施設は、航空機によるテロ攻撃などで原発の中央制御室が使えなくなった場合に備えて設置が義務づけられました。原子炉建屋から離れた場所に建てられ、遠隔で原子炉を操作する「第2制御室」などが含まれます。
3社の資料によると、九電川内(鹿児島県)、関電の高浜、美浜、大飯(いずれも福井県)、四国電伊方(愛媛県)の各原発10基で工事が長期化したため、設置期限を1~2年半超過するといいます。最も早い期限が川内原発1号機で来年3月ですが、約1年遅れる見通しです。10基のうち再稼働したのは7基。3社は「見通しが甘かった」と述べました。
規制委の山中伸介委員は「期限を変更する必要はない。期限内に設置が完了しない場合は、基準不適合になる」と述べました。更田豊志委員長も「(期限が)2度、3度延びるようだったら、期限と呼ばない。委員会で方針を議論する」と述べました。
設置期限は当初、新規制基準施行から5年の猶予期間を設け、2018年7月でしたが、再稼働審査の長期化で、設備や機器の詳しい設計内容を示した「工事計画」が認可から5年と変更しました。
(「しんぶん赤旗」2019年4月19日より転載)