首相官邸の記者弾圧に対し日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)が3月14日に行った官邸前抗議行動には、ジャーナリストと、連帯する市民ら約600人が集い、各メディアの現役記者が次々にスピーチしました。発言の要旨を紹介します。
メディアで働く女性ネットワーク代表世話人 林美子さん
記者会見で質問するなんて当たり前。事実かどうか分からないから質問するのであって、質問内容をあらかじめ事実じゃないと決めつけるなど、ジョージ・オーウェルの(『1984年』で描いた全体主義国家の)世界です。望月さんも私たちネットワークのメンバーです。記者の連帯ではね返していかなければなりません。
国境なき記者団日本特派員 瀬川牧子さん
政府高官は国民に奉仕するよう求められており、記者の質問を選別したりする権利はありません。日本の報道自由度ランキングは世界67位。殺害など目に見える迫害はないが、「自己規制」で情報を殺すやり方が横行しています。望月記者の質問姿勢は当たり前のことです。
毎日新聞記者 吉永磨美さん
声を出しておかしいことはおかしいという。良いことには賛同する。記者も自分の意見をいっていいのです。まずは自分たちが権力を支える側にならないように。税金で行われていることを監視し、よりよい政治、行政をやってもらいたいからです。そこが私たちのめざすジャーナリズムの基本です。
中国新聞記者 石川昌義さん
根っこにあるのは、記者の連帯を分断しようとしていることです。この先にあるのは、社の中や外でものがいえなくなることです。
中国新聞の先輩は、広島の原爆で114人が亡くなりました。この歴史を繰り返してはいけない。連帯し、分断を押し返していきましょう。
共同通信記者(新聞労連元委員長) 新崎盛吾さん
きょう、MIC主催で集会ができることをうれしく思います。ジャーナリストの組合として、問題が起きたときには発言し、連帯を呼びかける。これがジャーナリズムの連帯につながると思います。
この行動は、私たちの連帯を後押しするものです。記者を孤立させないでください。国民に真実が届くように、みなさんの応援をお願いします。
東京新聞記者 宇佐見昭彦さん
私たちの同僚である望月さんは、記者会見で記者として聞くべき当たり前のことを聞いているだけだと思います。
知る権利を守るために記者一人ひとりががんばらなくてはなりません。読者、市民のみなさんの応援が不可欠です。
東京新聞記者 柏崎智子さん
記者会見でこんなこといったら偉い人の機嫌が悪くなるだろうと思うところを聞くのは勇気がいることですが、為政者と直接対峙(たいじ)できる人は限られていて、それは記者の特権なのだから、きちんとやらないと役割を果たしたことにはなりません。望月さんはそれができる人で、それはすごく重要な資質です。同僚として守っていきたい。
神奈川新聞記者 田崎基さん
これは、「望月衣塑子さん問題」ではなく、権力者が傲慢(ごうまん)になっているという問題です。リベラルか保守でもない。どこの部署かも関係ない。
きょうは、記者、フリーの人、そして市民の方々も来てくれました。これだけの人たちが望月さんや官邸の記者の後ろにいるということです。
歴代新聞労連委員長 記者らがメッセージ
抗議行動には、新聞労連の歴代委員長など多くの現役記者がメッセージを寄せました。
新聞労連から、「国会議員、ましてや行政府のトップはすべての国民の奉仕者です。選別は許されません。それが民主主義の根幹です」とした前委員長の小林基秀氏(北海道新聞)はじめ、嵯峨仁朗(北海道新聞)、日比野敏陽(京都新聞)、東海林智(毎日新聞)、豊秀一(朝日新聞)の元委員長の各氏と、現役員の新崎哲史氏(沖縄タイムス)のメッセージが紹介されました。
(「しんぶん赤旗」2019年3月16日より転載)