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東日本大震災・福島原発事故8年 被災地から(3)・・見守りへ取り組み ここ来れば誰かいる

 被災者の孤独死、孤立を防ぐための見守りは重要性を増しています。しかし、災害公営住宅に生活援助員らを配置するサポートセンターをつくっているのは宮城県では気仙沼市と南三陸町だけです。

「伴走型の活動」

 サポートセンターの機能を持つ南三陸町社会福祉協議会が運営する「結(ゆい)の里」には朝9時ごろから人が集まってきます。カフェラウンジでお茶を飲んでおしゃべり、交流ラウンジでソーラン節に合わせて健康体操―。毎日きているという女性(71)は「災害公営住宅ではおしゃべりするにもピンポンしないとだめでしょ。ここに来れば誰かいる。1人暮らしだと、心がくじけそうになることがあるからね」といいます。

 同施設は「町民みんなの居場所」として昨年4月にオープン。介護保険のデイサービス施設、介護相談窓口、高齢者見守りの機能を持っています。

 同町では60戸以上の災害公営住宅には生活援助員が月曜から金曜日まで常駐。六つの住宅に12人が配置されています。月1回、行政や専門職が会議を持ち情報共有を重ねています。

 同町社協の高橋吏佳(りか)地域福祉係長は「私たちの活動は伴走型。住民が主人公の施設運営にしていくことが目的です。心配なのは財源。国が復興期間とする2020年度以降の被災者支援総合交付金がどうなるか。社協としても施設建設での持ち出し資金があり、その返済も課題です」と話します。

保健師らが訪問

 気仙沼市は災害公営住宅への26人の生活援助員常駐に加え、入居者への訪問に力を入れています。自治会設立支援も行っています。

 市の保健師、看護師が2015年9月から訪問を開始。1935戸の入居戸数の約74%にあたる1429戸(18年11月末時点)と面談を行ってきました。継続して訪問した方がいい世帯については、市の保健師の訪問に加え、生活援助員の訪問事業にも結び付けています。

 同市の災害公営住宅の入居者の43・4%(18年10月末時点)が高齢者です。高齢者のいる世帯の29%は高齢者独居世帯。相談内容の大半が健康問題です。

 同市高齢介護課の高橋義宏課長は「孤立化、引きこもり防止のため、特に高齢独居や日中独居となる人の見守り体制の強化が重要です。いずれは一般高齢者施策に統合することになるでしょうが、そういう段階ではなく、引き続く対応が必要です」と話しています。

 見守り体制強化について、南三陸町社協では町内訪問型事業者など民間企業との連携も4月から始めるなど、試行錯誤しています。(つづく)

(「しんぶん赤旗」2019年3月11日より転載)