東京電力福島第1原発事故に伴う政府による避難指示は、同原発が立地する双葉町、大熊町を除く地域では、帰還困難区域を除いて基本的に解除されています。しかし、放射線量への不安、買い物や交通、医療の整備の問題、避難先での生活の確立などから帰還した人は少ないのが実情です(表参照)。浪江町の吉田数博(かずひろ)町長に聞きました。(小梶花恵)
町民へのアンケートによると、放射線への不安と買い物の不便、医療体制の不備が帰還を阻害する原因です。現在、スーパー1社と開店について協議しています。介護施設を整備したい。医療では医師と看護師不足で苦慮しています。
子どもの帰還には親の仕事、住む場所などを総合的に整備する必要があります。産業団地や住宅団地を整備中ですが、企業から「働く人がいるのか」と言われるとつらい。
山間部の除染を国に要望しています。山菜や川魚をとるといった里山の生活は経済指数だけで測れない価値があります。山間部の復興再生拠点のインフラ整備・除染は国がやりますが、拠点区域外も同様に国にやってほしい。
(「しんぶん赤旗」2019年3月9日より転載)