2019年度当初予算案のエネルギー対策費は9104億円(18年度比82円減)です。新たな原発開発など将来にわたり原発を存続させる予算が並びました。
世界の潮流に背向け固執
小型炉などの新たな原子力技術の開発支援に6・5億円を新規で計上しました。政府がエネルギー基本計画で掲げた「安全性・経済性・機動性に優れた炉の追求」する方針を踏まえた措置です。
小型炉は主要な機器を工場内で組み立てて現場に据え付けるため、建設費を抑制できるとされています。炉心の小型化によって冷却しやすくなり、安全性が向上するとしていますが、放射性廃棄物を生み出します。持続可能性はありません。既存の原発より出力を調整しやすく、天候などで発電量が変わる再生可能エネルギーを補完できるとしています。しかし、安全に出力調整できる技術的な裏付けはありません。
フランスと共同開発する高速炉の研究費に41・5億円(同9・5億円減)を計上しました。国内では高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を決めた一方で、フランスとの共同開発は継続。しかし、昨年6月に仏政府は開発計画の大幅縮小を表明しており、核燃料サイクル政策は破綻しています。
高効率の石炭火力発電の開発を含む「次世代火力発電の技術開発事業」に111億円を計上。大量の二酸化炭素(CO2)を排出する石炭火発は先進国では撤退する流れになっています。石炭火発の推進は、世界の気候変動対策の潮流に逆行します。
中小企業対策費・・一般歳出のわずか0・3%
中小企業対策費として1790億円(同19億円増)を計上しました。一般歳出に占める割合はわずかO・3%です。中小企業は国内企業全体の99・7%を占め、雇用全体の7割を担っています。地域経済や雇用を支える役割から見て対策費は不十分です。
中小企業の設備投資を支援する「ものづくり補助金」に50億円を計上。小規模事業者の販路開拓を都道府県が支援する「持続化補助金」に対して国が補助する事業に10・1億円を盛り込みました。両補助金はこれまで補正予算で組まれていましたが、今回初めて当初予算化されました。
両補助金は事業拡大や災害時の営業再開のために多くの事業者に利用されました。当初予算化は、日本共産党や全国商工団体連合会が要求してきました。
一方、「ものづくり補助金」の当初予算案の額は18年度の補正予算と比べて16分の1です。「持続化補助金」に対する支援事業は、自治体が実施する制度がなければ適用されないため、地域によって支援が偏る恐れがあります。当初予算化は一歩前進ですが、今後抜本的な拡充が必要です。
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(「しんぶん赤旗」2019年1月31日より転載)