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原発関連廃止費用14.7兆円・・本紙集計 高コストくっきり

 福島第1原発1~4号機以外の商業用原発の解体に伴う固体の放射性廃棄物(低レベル放射性廃棄物)の発生推定量は計48万7000トンに上ります。この中には、人間社会から10万年、隔離が必要な炉内構造物が含まれています。

 廃棄物の処分先も決まっておらず、巨額のコストとリスクが伴う原子力事業の行き詰まりを浮き彫りにしています。

原燃元幹部「見積もり過小」

原子力施設の廃止費用底なし

 国内の原子力施設の廃止費用の内訳は、福島第1原発1~4号機を除く商業用原発53基の廃炉費用だけで約3兆600億円です。

 原発の解体撤去までの期間を大半が30~40年程度と見込んでいます。これまで廃止を決めた商業用原発は23基。他は廃止時期を示していません。

最終的には国民負担に

 1施設で最も廃止費用が高額なのは、青森県六ケ所村にある日本原燃の再処理工場で約1兆6000億円です。日本原燃は、このほかMOX燃料(ウラン・プルトニウム混合燃料)工場などとあわせ、計1兆7300億円としています。再処理工場の解体に伴う放射性廃棄物の発生推定量は約3万2000トンです。

 設計にかかわった原燃元幹部は「再処理工場の廃止は原発と違い、全く未経験の分野だ。根拠を持って計算できるのか? どうみても過小評価だ」と指摘します。

 日本原子力研究開発機構は、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)に1500億円、東海再処理施設(茨城県)7700億円など合計で約1兆9100億円と見積もっています。

 見積もりは廃棄物の量などからの現時点でのものです。運転に向けて原子力規制委員会に審査を申請している中国電力島根原発3号機や電源開発大間原発は建設中のため「見積もり困難」としています。

 ウラン廃棄物の廃棄の基準がないため、ウラン加工施設などでも現時点での費用の見積もりが困難としています。

 見積もりに原発の維持・管理の費用や使用済み核燃料の処理・処分費用は含まれていません。これらの費用は電力会社が電気料金から回収する仕組みで、最終的に国民負担となるものです。

 電力会社の元幹部は、「運転を停止して、すぐ廃炉が始まるわけではない。始まるまで人件費や維持費もかかる。電力会社が示した廃止費用は低いのではないか」と言います。

最終処分場めど立たず

日本原燃の敷地に造られた、廃炉で発生する放射能レベルの比較的高い低レベル放射性廃棄物などの処分技術の調査研究のための地下トンネル内部=2017年、青森県六ヶ所村

 48万7000トンに、放射能汚染があるものの再利用できると国が定めているレベル(クリアランスレベル)の廃棄物は含めていません。原発の運転に伴う放射性廃棄物もほとんど含まれていません。

 解体に伴う放射性廃棄物は「低レベル放射性廃棄物」と呼ばれ、使用済み燃料からでる「高レベル放射性廃棄物」と区別されています。しかし、その中で原子炉内の構造物など比較的放射性レベルの高い廃棄物は、人間の生活圏から10万年程度の隔離が必要とされています。高レベル放射性廃棄物と同様、最終処分場のめどは立っていません。

 2017年の原子炉等規制法の改定で、放射性廃棄物の量や費用見積もりなど、廃止措置実施方針の作成・公表が義務付けられました。既存施設の公表は昨年12月が期限でした。

民主的手続き踏み国民の意見反映を・・大島堅一・龍谷大学教授(環境経済学)の話

 日本では原発解体後の放射性廃棄物の扱いが未確定です。処分の行き先も決まっていない状況では、全体の費用について未確定な部分が多い。

 ドイツでの廃炉の例を見ると、廃棄物の処分をどうするかによって当初の見込みより経費が上がっています。日本でもおそらく増えるのではないか。

 原発の解体は海外にも事例がありますが、前例のない再処理施設の解体費用の見積もりは非常に難しいでしょう。根拠も示されておらず信頼できません。

 放射性廃棄物については、きちんと民主的プロセスを踏んで着実にやらないといけない。原子力の関係者だけで議論するのではなく、国民の多様な意見を取り入れるべきです。

(「しんぶん赤旗」2019年1月22日より転載)