人工衛星の観測などでグリーンランドの氷床の融解が10年前より4倍速くなっていることがわかったと、米オハイオ州立大学などの研究グループが科学誌『米科学アカデミー紀要』電子版(1月21日公表)に発表しました。これまで考えられていたより速く、海面上昇が速まることにつながっているとしています。
研究グループは、米航空宇宙局(NASA)とドイツ航空宇宙センターが2002年に打ち上げた「グレース」衛星を使ってグリーンランドの氷床を監視しています。これまでの観測で、02~16年までの年間平均で約2800億トンの氷が解けていることがわかりました。これは、1年に海面が約0・08センチ上昇するのに相当するといいます。
また、年ごとの融解量を比較すると、12年の融解量は03年の融解量の4倍に達しており、その大部分がグリーンランドの南西部に集中していました。従来、グリーンランドの南西部は氷床の融解が進みやすい地域とは考えられていませんでした。
しかし、研究グループによると、グリーンランド西部には北大西洋から暖かな空気が入りやすく、とりわけ地球温暖化でその影響が大きくなっているといいます。研究グループのマイケル・ベビス教授は近い将来、海面上昇がますます速くなると予想。沿岸部の大都市や、島国に深刻な影響を与える可能性があるとしています。
(「しんぶん赤旗」2019年1月23日より転載)