海外での原発事業の旗振り役だった柳瀬唯夫・元首相秘書官が経済産業省を退官後、昨年12月、海外原発事業の失敗で経営危機に陥った東芝と、シャープが出資する企業の非常勤取締役に就任していることがわかりました。
柳瀬氏が“天下り”したのは、パソコンの開発などを手がけるダイナブック社(旧東芝クライアントソリューション、東京都江東区)です。東芝の子会社だった同社は昨年10月にシャープの傘下に入りましたが、今も東芝が株式の約20%を保有します。
柳瀬氏は昨年7月に経産省を退官。同年12月に同社の非常勤取締役に就任しています。
柳瀬氏は、安倍晋三首相の秘書官をつとめ、加計学園の獣医学部新設をめぐって、愛媛県の担当者に「本件は首相案件」と発言したと同県作成の文書に記録されています。
また資源エネルギー庁の原子力政策課長として原発の海外展開を官民一体ですすめる「原子力立国計画」(2006年)づくりにかかわりました。
東芝による米国の原子炉メーカー、ウエスチングハウス(WH社)の買収を「画期的」と雑誌でのべるなど、柳瀬氏は後押ししていました。
東芝の子会社となったWH社は17年に経営破たん。東芝も債務超過に陥りました。
日本共産党の辰巳孝太郎参院議員は17年5月の参院経産委員会で「買収を高く評価したのが柳瀬さん、あなたなんですよ」と柳瀬氏を追及しています。
本紙の取材にダイナブック社は「どちらから(就任を)お願いしたかはお答えできない」と回答。再就職の経緯については「(柳瀬氏は)重要な役職の経験があり、本人の能力や知見、経験を総合的に判断した。本社業務に対して有益なアドバイスをいただけると期待して就任していただいた」と答えました。経産省は「(再就職は)承知している。適正に行われている」としています。
(「しんぶん赤旗」2019年1月13日より転載)