9月に起きた北海道胆振(いぶり)東部地震での北海道全域停電(ブラックアウト)について、北海道電力は12月21日、社内検証委員会の最終報告を公表しました。現在停止中の北海道電力泊原発(泊村)の全3基が再稼働し、全基がフル稼働中に災害などで一斉停止した場合に「ブラックアウトに至る可能性が高い」と指摘した国の検証委員会の最終報告を踏まえた「取り組み」を盛り込んだとしていますが、原発依存の危険性が改めて浮き彫りになっています。
分散型推進の教訓無視
全域停電は大規模発電所の停止で電力の需給バランスが崩れて起きます。国の認可法人・電力広域的運営推進機関(東京)の検証委員会は今月まとめた最終報告で、9月と同様の全域停電が起きないかの検証を行うため、泊原発が再稼働した場合のシミュレーション結果を示しました。
それによると、需要の最も小さい深夜帯(需要規模312万キロワット)に、泊原発全3基(計207万キロワット)がフル出力で動き、一斉に停止した場合を想定。本州から北海道に電力を融通する送電設備「北本連系設備」「新北本連系設備」(来年3月までに運転開始)の運用、周辺地域の部分的な強制停電などをしても、需給バランスの崩れは回復せず、「ブラックアウトに至る可能性が高い」と明記しています。
こうした指摘を踏まえ北海道電は最終報告で2019年度以降、より速く周辺地域を強制停電させるシステムを改良するなどとしています。
今回の全域停電は、道内の電力需要の半分を担う苫東厚真(とまとう・あつま)石炭火力(計3基、165万キロワット)の停止が大きな要因でした。国の検証委は、全域停電の原因は、同発電所の停止に加え送電線事故による水力発電停止の「複合要因」として、大規模集中電源の問題に踏み込んでいません。
今回の全域停電の教訓が、大規模集中電源から分散型に転換すべきことを明らかにしているのに、国や北海道電は経済性を理由に原発などの大規模集中電源に固執しています。
(「しんぶん赤旗」2018年12月23日より転載)