エネルギーをめぐる資金の流れを調べ、再生可能エネルギーへの資金を推進する市民団体「オイルチェンジ・インターナショナル」のコリン・リースさん(米国)に、日本の石炭火力推進の問題点について聞きました。
(カトウィツェ〔ポーランド南部〕=伊藤寿庸 写真も)
COP24
世界の多くの国や自治体、企業が、石炭離脱を約束しています。昨年つくられた「脱石炭連盟」には、今回途上国のセネガルが加入しました。
しかし豊かな日本が、時代遅れのエネルギーに資金を出し続けている。世界の流れからはるかに取り残されています。とりわけ近年は、とびぬけて悪い役割を果たしています。
2013年から15年まで、日本政府は毎年160億ドルを、化石燃料に出しています。うち石炭が20億ドル、石油・ガスが140億ドルです。クリーンエネルギー向けは、化石燃料の6分の1で27億ドルです。
同じ期間に、日本の輸出信用機関や公的金融機関である日本貿易保険(NEXI)、国際協力銀行(JBIC)は、年間平均17億ドル(年額)もの石炭向け資金を出しています。全世界の石炭向け資金のうち、日本が30%以上を占めています。日中韓を合わせると5割を優に超えます。
日本や米国は(効率がよく温暖化ガス排出が少ないとうたう)「クリーンコール」を推進しています。しかしこれは高価な事業です。再生可能エネルギーなら、もっと有効に、より多くの人が利用できます。石炭火力は、ベトナムなど受け入れ先の国民に、健康被害という外部コストを支払わせています。公的資金の無駄遣いです。
米国では、「クリーンコール」事業が当初計画より10年遅れ、経費も60億ドル膨らみ、大失敗しています。
今回のCOP24(国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議)の決定文書では、気候変動対策への野心が大幅に引き下げられています。化石燃料に多大な投資をしている国が、進展を妨害しているからです。米国、サウジアラビア、クウェート、ロシア、オーストラリアなどです。日本はその後ろに隠れていました。化石燃料産業の巨大な影響力が見て取れます。
英国の調査報道メディア「デスモッグUK」は、国連の気候変動政府間パネル(IPCC)の「1・5度報告書」に反対した米国、サウジアラビア、クウェート、ロシアの4カ国の政府代表団の少なくとも35人が直接、化石燃料産業に雇用されているか、過去に雇用されていたと報じました。政府代表団と石油、ガス企業が一体化しているのです。
(「しんぶん赤旗」2018年12月18日より転載)