被害予測の末公表告発・・佐賀・玄海原発
原発訴訟では最多の7137人が原告となり、玄海原発の廃炉を国と九州電力に求めている「原発なくそう!九州玄海訴訟」の第7回口頭弁論が12月20日、佐賀地裁(波多江真史裁判長)で開かれました。
意見陳述した原告でジャーナリストの斎藤貴男氏(55)は、1984年に外務省が原発へのミサイル攻撃で最大1万8千人が急死する被害予測をまとめたものの「反原発運動を利する」として公表しなかったことを告発。「原発に反対している
人々を政府や電力会社がいかに敵視しているか」を示しました。
福島県大熊町の司法書士・菅波佳子さん(42)は、福島原発から4キロの自宅から強制避難、いわき市の実家に身を寄せています。
「避難による関連死者数が震災時死者数を上回っている」とのべ、「もう二度と同じような苦しみを誰にも経験させたくない」と切々と訴えました。
裁判に先立ち原告ら260人が「原発廃炉!電気は足りてる」と唱和し裁判所まで行進しました。
「原発再稼働考え直して」・・福井・大飯原発
福井県や福島県などの住民が関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の差し止めを求めた裁判の第5回口頭弁論が12月19日、福井地裁(樋口英明裁判長)で開かれました。福島第1原発事故により避難生活を続ける原告の女性が意見陳述しました。
福島県富岡町から茨城県に避難している女性は、念願のマイホームで家族と送る生活を奪われた悲しみと福島の放射能汚染の現状を訴え、「福島の今を知ってもらい、大飯原発の再稼働を考え直してほしい」と求めました。
原告側は、大飯原発で過酷事故が起きた場合、チェルノブイリ原発事故の被害規模にも達する恐れがあると主張しました。
裁判所は関電に対し、「主給水や外部電源が途絶えた場合は非常事態ではないのか」「使用済み核燃料を閉じ込める機能がないことをどう考えるか」と尋ねました。
大飯原発3、4号機は9月に定期検査入りして停止状態にあり、原子力規制委員会では再稼働に向けた安全審査が進められています。活断層の疑いが指摘される敷地内の破砕帯(断層)について、関電が破砕帯の位置を変えて活断層ではないと不可解な評価をしており、専門家からも疑問の声が上がっています。規制委は破砕帯の存在を認めながら、十分な解明もしていません。