【カトウィツェ(ポーランド南部)=岡本あゆ】「空転をやめなければ、回転するのは台風」―。12月10日、日本、韓国、マレーシアなどアジアの若者が、台風の激甚化を防ぐため、政治家は気候変動対策を決断するよう求めました。訴えに加わった日本の若者らは「台風被害はアジアに共通のもの。政治家に向けた訴えを行いたかった」と話します。
COPに青年参加者を送るNGO、クライメート・ユース・ジャパンの一員で、初めてCOPを訪れた慶応義塾大学の堀克紀さん(21)は「2050年までに石炭火力発電を止めないと、世界の平均気温上昇を1・5度以下に抑える目標は達成できないと国連機関が報告しています。もう今に懸かっている。僕らの世代の責任をすごく感じます」と強調します。
石炭国でもある開催国ポーランドについて、「(石炭問題で批判を浴びる)日本と立ち位置は似ていると思うんですが、会場のポーランドの学生と話すと、『親や祖父は石炭産業に従事して、私たちの生活をよくするために頑張ってくれたけど、地球温暖化を前に、次の世代のため変わらなければならないんだ』と熱く語ってくれる。すごいと感じました」。
アジア参加者と
アジアの若者による訴えにも加わった横浜市立大学の宮川健太郎さん(23)は「アジア参加者とは、すごく仲良くなりました。打ち上げで日本のアニメや韓国のフィギュアスケートの話をしたりして」と笑います。
海外の参加者からは“若者が社会を変えられる”という確信を感じたという宮川さん。「それが、僕たち日本の若者には足りていなかったと感じました」
神戸大学の今井絵里菜さん(22)は、国際会議に若者が出席できることを環境系のイベントで知り、昨年COP23(ドイツ・ボン)にも参加しています。
COP23では東南アジアの参加者から、海外での日本の石炭火力発電所建設に非難の声が上がりました。
恥ずかしい日本
「日本人として恥ずかしい」と感じたという今井さん。帰国後、石炭火力の新設を計画する神戸製鋼への環境訴訟に、原告として加わりました。今回のCOPでも、欧州などで環境訴訟の勝訴を勝ち取った人の話を聞きに行ったといいます。
帰国後の目標は「訴訟で、計画を止めるだけでなく、周りにこの問題について知らせる機会にしたいです」。
COP会場では各国の若者が連日訴えを行っています。持続可能性をめざす自治体協議会(ICREI)のスリダラン議長は11日、南米の若者らを激励し「若者にはもっと我々を“わずらわせ”てほしい。我々には若い政治家、若い気候リーダーが必要だ」と強調しました。
(「しんぶん赤旗」2018年12月13日より転載)