東京電力福島第1原発事故から7年半余。福島県立ふたば未来学園高校(広野町)演劇部(部員23人)の生徒たちが、今の生活と思いを創作劇にして、高校演劇コンクールの県大会(23~25日、福島市)で上演しました。同校は優秀賞第1席に選ばれ、12月21日から3日間、秋田市で開かれる東北大会への出場を決めました。
同校は、全8町村が自治体ぐるみで避難した双葉郡に現在ある唯一の高校。部員の多くも被災、避難を経験しています。
ある生徒は、カゼだと偽って寮を抜けだし、仮設住宅の家族のもとにこもります。言葉では「楽しい」といいながら心のなかで「おれ、なにしてんだよ」と自問しています。
高校でいじめ、差別にあうまいと明るく振る舞う生徒は、中学時代を話題にすることを避けます。幼少期の楽しい思い出、それを切断した原発事故―「もういちど人生をやり直せるなら」と再生を渇望する生徒がいます。
自分の経験や思いを表現する、リアルで切実な場面が続きます。家族との葛藤、中学校でのいじめを再現する場面もあります。
思いを語りはじめ、共感の扉を開く生徒たち。つくられていく大きな防波堤にも問いの矛先を向けます。
部長の2年生、森崎陽さん(16)は、「ぼくらの経験、変わりたいという思いに共感を得られればうれしい」といいます。
(「しんぶん赤旗」2018年11月26日より転載)