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防潮堤で止められる・・東電公判 津波の専門家が証言

 東京電力福島第1原発事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第28回公判が2日、東京地裁(永渕健一裁判長)であり、原発の審査に関わった津波工学が専門の今村文彦・東北大学教授が証言。仮に海抜20メートルの防潮堤があったら、津波を「かなり食い止められる」と述べました。

 今回は、検察側の依頼で行った、2011年3月11日の東日本大震災の津波の影響を再現したシミュレーション結果を説明。福島第1原発の原子炉建屋が建つ敷地前面に海抜20メートルの仮想防潮堤を設置した場合と未設置の場合で津波がどのように押し寄せるかを視覚化した、今村氏らが作成したコンピューターグラフィックス動画が示されました。

 今村氏は、仮想防潮堤がない場合は当時の状況を示したものだと説明し、「仮想防潮堤が設置されれば、津波がかなり食い止められる」と述べました。

 一方、被告側は、15・7メートルの津波に備えるなら防潮堤が敷地の北側や南側に限られたとして、3・11の津波は防げなかったと主張しています。

 今村氏は6月にも証言に立っており、国の地震予測「長期評価」に基づいた15・7メートルの津波に対し、防潮堤を1~4号機建屋の敷地前面の全体に設置すれば、敷地への浸水を「かなり止められた」と述べていました。今回は、被告側弁護士の質問に、想定津波の高さが異なれば、防潮堤を「一律に造る必要はない」と述べて、被告側の主張に沿った証言をしました。

 次回の公判は3日で、別の証人が証言します。

(「しんぶん赤旗」2018年10月3日より転載)