原発を推進する安倍内閣が登場して1年。年明けには、原発を「重要なベース電源」とするエネルギー基本計画を閣議決定しようとしています。民主党政権がまがりなりにも掲げた「2030年代に原発稼働ゼロを可能とする」とした方針を撤回するもの。これに対して「原発ゼロ」をめざす運動はこの1年間、一歩もひかず持続的に取り組まれ、大きな世論をつくってきました。
(高橋拓丸)
年末、安倍内閣の暴走に国民の怒りが大きく広がりました。12月22日に首都
圏反原発連合(反原連)がおこなった「再稼働反対☆国会大包囲」には、全国から1万5000人が参加しました。人の輪で国会議事堂をぐるりと囲んで、「原発ゼロを撤回するな」「再稼働反対」といっせいに声をあげました。抗議集会に初めて参加したという男子高校生も「こんなに大勢の人が参加していて感動した。自分ももっと勉強して、政府の暴走をとめたい」と話しました。
東京電力福島第1原発から際限なく続く放射能汚染水の流出は、原発事故がいまだに収束していないことを白日の下にさらしました。共同通信社が実施した世論調査(22、23日に実施)によれば、政府の原発ゼロ目標からの転換方針に65・7%が反対しています。福島第1原発の事故が起きてから、再稼働した原発は関西電力の大飯原発(福井県)だけ。これも定期検査に入り、9月15日から国内で稼働している原発は1基もありません。国民世論が再稼働を阻止してきました。
ねばり強く金曜行動
世論をつくってきたのは、各地で休まず行われている集会やデモなどのとりくみです。2012年3月に始まり、昨年6月には20万人が参加した反原連の首相官邸前抗議行動は、「金曜日にここにくれば安心して声をあげられるという場を維持し続けたい」というメンバーの強い思いと参加者の熱意で85回(27日現在)を数えます。
官邸前抗議行動の直後から大阪市、名古屋市、京都市、福井市などで金曜日行動が始まり、いまも継続しています。金曜行動は全国に広がり、札幌市の道庁前で77回、徳島市のJR徳島駅前で76回、金沢市のJR金沢駅前で75回、静岡市の青葉
公園前で75回、水戸市の日本原電ビル前で69回など、ねばりづよい取り組みになっています(回数は20日現在)。毎週定期的にかつ長期的に運動が続くのは、かつてないことです。土曜日や日曜日、休日には全国各地で草の根の集会やデモ行進も途切れることなくおこなわれています。
だれもにも“見える”声
「NO NUKES DAY(ノーニュークスデイ)」など、局面に応じた大規模な抗議行動も数カ月おきに実施され、「原発ゼロ」を求める声をだれでもが見えるようにしました。
安倍首相が2月28日の施政方針演説で「安全が確認された原発は再稼働する」と表明したときは、全国で激しい怒りがひろがりました。3月10日に原発をなくす全国連絡会と反原連が大規模集会と国会請願デモを実施し、のべ4万人が参加しました。この日を中心に全国約300ヵ所で集会やデモがおこなわれました。
福島第1原発から出る放射能汚染水が増え続けていた6月2日には、全国連絡会、反原連、さようなら原発1000万人アクションの3グループが「ノーニュークスデイ」の統一標語のもと、東京都内で共同行動を展開。のべ6万人が参加しています。10月13日には、3グループによる「原発ゼロ☆統一行動」が国会周辺でおこなわれ、のべ4万人が「福島を忘れるな」「再稼働を許すな」と訴えました。
“オール福島”思い
福井、北海道、福島、福岡、静岡、愛媛、鹿児島などの原発立地道県でも、9月から12月にかけて大規模な行動がおこなわれました。
11月2日、福島市でおこなわれた「なくせ原発! ふくしま大集会」は、JA福島女性部協議会の会長や県女性団体連絡協議会の元会長が呼びかけ人となり、県議会議長、自民党国会議員、被災自治体の首長から連帯のメッセージが寄せられるなど、「オール福島」の意思を示しました。7000人の参加者が、汚染水問題の抜本的解決、県内全原発の廃炉を求めました。
「再稼働の一番手」にねらわれている四国電力伊方原発がある愛媛県の松山市では、12月1日に「NO NUKES えひめ」が取り組まれ、強い雨が降るなか、過去最高の8000人が参加しています。
27日には、ことし最後の金曜日行動が首相官邸前をはじめ全国でおこなわれます。反原連は次のように呼びかけています。「私たちの声で本年、9月15日以降の国内原発稼働ゼロの状態を継続・全原発の廃炉を達成し、自分たちの行動により、未来を守りぬきましょう」