「海洋放出ありきでいいの?」―。東京電力福島第1原発事故で発生した放射能汚染水の処分方法をめぐって30、31の両日に福島県富岡町などで公聴会が開かれるのに先立ち、原子力市民委員会などの市民団体は29日、東京都内で学習会を開きました。
福島第1原発では汚染水が100万トン以上たまっています。東電は放射性物質の濃度を下げる装置「ALPS」(アルプス)で汚染水を処理。高濃度のトリチウム(3重水素)などが除去できずタンクにたまり続けています。
国際環境NGO「FoEJapan」理事の満田夏花氏は、アルプス処理後も、半減期が1570万年のヨウ素129などが排出基準を超えて残存していることが明らかになったと述べ、トリチウム以外は除去されているとする公聴会用の説明会資料を問題視。他の残存する放射性物質について政府の有識者会議で検討がされていないとして、「公聴会の前提が崩れている」と批判しました。
汚染水について経産省は、希釈して海に放出したり地中へ埋設したりする五つの処分方法を示し、海への放出が最も低コストだとしています。
東芝の元原発設計技術者の後藤政志氏は、「すべての処分方法が環境に放出する方法。漁民の反対もあるなか、ただちにトリチウムの海洋放出をする必要はないし、技術的にも経済的にも長期貯蔵で対応可能だ」と強調。伴英幸・原子力資料情報室共同代表も「処理水を海洋に放出すべきでなく、貯蔵を継続すべきだ」と指摘しました。
(「しんぶん赤旗」2018年8月30日より転載)