【ワシントン=池田晋】トランプ米政権は8月21日、オバマ前政権下で中心的な役割を果たしていた地球温暖化対策に代わる、温室効果ガス規制の基準案を公表しました。石炭火力発電所からの排出量削減目標などを各州で決めることを認めるもので、減少してきた排出量が増加に再び転じることを危惧する声があがっています。
環境保護局(EPA)は、石炭の産出地として知られる南部のウェストバージニア州で同日夜に開かれたトランプ大統領の集会にあわせ、新基準を公表しました。トランプ氏は一昨年の大統領選時からオバマ氏の規制策を「対石炭戦争」として批判、石炭産業の保護を公約していました。
公表された新基準は、オバマ前政権が地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」に向けて準備を進める2015年に策定した「クリーンパワープラン」に代わるもの。発電所に対する連邦政府レベルの最初の二酸化炭素(CO2)排出規制で、2030年までに05年比でCO2を32%削減する目標を掲げていました。
新基準は、既存の発電所における排出量削減の最善の方法は発電効率の向上だとし、石炭火力発電所の改修と存続を推奨。「州が完全に(この)提案を履行した場合」には、米発電所部門からのCO2排出は05年比で33~34%の削減が可能としているだけで、政府としての明確な目標は掲げませんでした。
(「しんぶん赤旗」2018年8月23日より転載)