福島県出身の高校生ら9人がドイツを訪れ、東日本大震災や東京電力福島第1原発事故の体験を伝え、同国の再生可能エネルギー導入の先進的な取り組みを学ぶ「福島・ドイツ高校生交流プロジェクト」の報告会が19日、東京都と福島県で開かれました。9人は前日夜に帰国したばかりですが疲れを見せず、英語やドイツ語を交え語りました。
同プロジェクトは、被災地支援に取り組むNPO法人「アースウォーカーズ」の主催で、今年で5回目。5日に日本を出発し、現地の高校生らと交流したほか、再生可能エネルギー事業者のフィールドワークに取り組みました。
再生可能エネルギーについて「発電効率が悪く実現無理だと思っていたが、現地での体験を通じ可能性は無限大と考えるようになった」というのは長野県松本市の高校2年の真船日向子さん(16)。福島県須賀川市から、愛知県や北海道での避難生活を送りました。
真船さんは「核廃棄物の処理は、次世代に責任転嫁するもの。原子力に代わる新しいエネルギーは、再生可能エネルギーだ。自分で調べて学んでいきたい」と話しました。別の高校生らも「ドイツに比べ、日本は省エネに対する社会的な取り組みが遅れている」などと報告しました。
福島市の高校2年の吾妻凌さん(16)は、誤った放射線の情報に基づく福島県民への差別など「二次被害」の7年だったと語ると、ざわついていた教室は静まり返って真剣に聞いてくれたと言います。震災後にドイツで募金を呼び掛けたという子どもに出会い、「国境を越え、助けられていると改めて実感した。うれしかった」と話しました。
(「しんぶん赤旗」2018年8月20日より転載)