2万年前ごろ、海面が急激に低下していたことがわかったと、横山祐典・東京大学大気海洋研究所教授たち日本の研究者を中心とした国際研究グループが7月26日付の科学誌『ネイチャー』に発表しました。
東大と国立極地研究所、名古屋大学、東北大学などのグループは、オーストラリア大陸の北東の沿岸に南北2500キロにわたって続く世界最大のサンゴ礁「グレートバリアリーフ」が過去3万年にわたってどう変化したか、互いに約500キロ離れた2カ所で海底に存在する化石化したサンゴを掘削して調べました。
サンゴは、光合成をする藻類と共生しており、海面近くでないと生きられません。このため、取り出したサンゴがどのぐらいの深さに生息する種なのか、いつごろ生きていたのかがわかると、当時の海面の高さを知ることができます。
それぞれの種類を同定し、年代測定を行った結果、2万年前ごろ1000年あまりの間に、海面が20メートル近く低下したことが明らかになりました。従来考えられていたゆっくりとした変化と比べ数倍のスピードだといいます。
急激な低下が起こった時期は、最近では地球が最も寒冷化した最終氷期最寒冷期に当たり、今回の研究結果から当時の海面は、現在より125~130メートル低かったと推定されました。
急激な海面の低下は、当時、北米大陸などを覆っていた氷床がより厚くなったことを示すとみています。研究グループは、将来の気候や海面の変化の予測をするモデルの高精度化に役立つ成果だとしています。
(「しんぶん赤旗」2018年7月26日より転載)