東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第21回公判が7月24日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれました。東電の子会社「東電設計」で、事故前に地震や津波の解析を担当していた社員が証言しました。
社員は電力会社社員や学者らでつくる土木学会原子力土木委員会津波評価部会の幹事を1999年から務めました。社員は、2010年5月、東電担当者も出席した部会の打ち合わせで、平安時代の869年に起きた貞観(じょうがん)地震も考えたとき、福島第1原発の敷地を超える約11・5メートルの高さの地震津波が発生する確率が高いとする解析結果を検討していたことを明らかにしました。その打ち合わせで東電側が、今後50年でみた場合の発生確率を低くできないかと、再計算を求めていた資料も示されました。
検察官役の指定弁護士の尋問に対し同社員は、東電が再計算によって発生確率が小さくなることを期待していたとみられると述べました。
東電設計は東電の業務委託で、2008年3月、同原発の敷地に最大15・7メートルの津波が押し寄せるとする試算をまとめています。同年6月に、元副社長の武藤栄被告に津波の試算結果や津波対策が報告されていますが、「研究を継続する」などとして対策は先送りされました。
(「しんぶん赤旗」2018年7月25日より転載)