山口県の住民57人が、中国電力による上関原発建設計画(上関町)のための海面埋め立て免許延長申請の可否判断を先送りして生じた県財産の損失を、県に支払うよう知事に求めた住民訴訟の判決が7月11日、山口地裁でありました。
福井美枝裁判長は、延長期間内での竣工(しゅんこう)は困難と認められる2013年3月以降の故・山本繁太郎前知事と村岡嗣政知事による判断の先送りは裁量権を逸脱し違法だとし、中電へ補足説明を求めた文書の郵送費120円をそれぞれ県に返還するよう命じました。
埋め立て免許は2008年10月に交付されましたが、福島第1原発事故後、中電は工事を中断し、12年10月に3年間の免許延長を申請。山本、村岡の両知事は中電に補足説明を繰り返し求めて判断を先送りし、村岡知事が16年8月に延長を許可しました。
閉廷後の報告集会で原告弁護団の内山新吾弁護士は「司法が知事・行政に大きな歯止めをかけた画期的なものだ。留保による免許の失効には直接判断していないが、(埋め立て法上の要件である)正当な事由がないと認めたと言えると思う」と述べ、原告や支援者から拍手が湧きました。
臼井俊紀弁護士も「免許延長の効力はないという運動につながる大きな一歩を築く判決だ」と強調。原告で児童文学者の那須正幹さんは「全国の原発訴訟にも弾みがつくのでは」と述べました。
(しんぶん「赤旗」2018年7月12日より転載)