福島第1原発で高濃度の放射能汚染水を一時的にためている建屋群で、本来の移送先でない別の建屋に汚染水が誤送されていたことが分かりました。使う予定のない仮設ポンプ4台が、何らかの原因で動いたことによるもの。東京電力は異変に気づいた後も対応が遅れ、ポンプ停止まで長時間が経過したため、誤送された汚染水の総量は約203トンにのぼりました。東電が4月14日、発表しました。
誤送先の「焼却工作建屋」は汚染水の移送が認可されておらず、東電は「管理区域内の漏えい」に当たる法令報告事象として原子力規制委員会に13日、報告しました。
同原発の原子炉建屋地下などにある大量の汚染水は日々増え続けているため、ポンプでくみ上げて処理しています。今回、問題となっているのは処理前の水を一時的にためている「集中廃棄物処理施設」を構成する複数の建屋間の誤送です。
東電の会見での説明によると、汚染水の移送元の「サイトバンカ建屋」で水位が上昇し、移送先の「プロセス主建屋」では水位が低下するという、本来と逆の水位変動を把握したのは11日。しかし現場調査を始めたのは翌12日。非常事態に備えて仮設置していた仮設ポンプ4台が運転中と判明し、ポンプを停止したのは13日午後5時すぎにずれこみました。
さらに、焼却工作建屋の地下1階の全域に汚染水がたまっているのを発見したのは、約4時間後の午後9時すぎでした。プロセス主建屋の汚染水の8日の分析結果によると、セシウム137が1リットル当たり2700万ベクレル、セシウム134が同1000万ベクレル。
使用予定のないポンプがなぜ動いたのかは現時点で不明だといいます。一方、対応の遅れについて会見で問われましたが、東電は回答できませんでした。
東電は14日、焼却工作建屋からプロセス主建屋への汚染水移送を実施。ポンプで吸いきれない残水の処理については今後検討するとしています。