内閣府の原子力委員会(岡芳明委員長)は7月5日、「原子力白書」(2017年版)を決定しました。閣議に報告します。東京電力福島第1原発事故後2回目の発刊。「事故から既に7年が経過した現在でも、依然として国民の原子力への不信・不安が根強く残っています」と述べ、国民や原子力の利害関係者に対する対話を強化することが必要だとしています。
同委員会は原子力利用で「羅針盤」の役割を果たすとしており、原発ゼロや再稼働反対は選択肢にはありません。白書は、原子力利用に関する現状や取り組みをまとめた年次報告書。10年まで継続的に発刊されていましたが、事故対応などを理由に休刊。昨年、7年半ぶりに再開しました。
今回、原子力分野におけるコミュニケーションのあり方にページを割き、国民の不信・不安に真摯(しんし)に向き合うため、双方向の対話の強化や、その基盤として科学的に正確な情報に基づいた情報体系の整備を提言しています。
その上で、原子力に関する政策や事業の過程の早い段階で国民が参加する仕組みをつくり、「後戻りを許容し、失敗しても、そこから得た教訓を次の取り組みに生かす」などの方法を紹介しています。
核兵器の材料にもなるプルトニウムを日本は国内外に約47トン保有しています。委員会はすでに、プルトニウムを含む核燃料を普通の原発で使う「プルサーマル」が「唯一の現実的な手段」と見解を発表しています。白書では、プルサーマルの実施に必要な量だけ、プルトニウムを取り出す再処理が実施されるよう、着実な削減について議論されているとしています。
岡委員長は「こういう見方もあると、原子力に反対も賛成も両方の国民に読んでいただきたい」と話しています。
(「しんぶん赤旗」2018年7月6日より転載)