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大飯差し止め覆す・・高裁金沢支部 安全放棄の不当判決 & 原発推進に追従 規制委も司法も・・大飯3・4号機 主体性ない無責任判決

 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)に対する運転差し止め訴訟の控訴審で7月4日、名古屋高裁金沢支部(内藤正之裁判長)は、東京電力福島第1原発事故を教訓に運転差し止めを命じた一審判決(福井地裁)を覆す不当判決を言い渡しました。

 判決では、過酷事故に至らない限界を超える地震動が襲う可能性を否定せず、これを政策的選択に委ね、「(原発の)危険性は社会通念上無視しうる程度にまで管理・統制されている」などと安全軽視の考え方を示しました。また、原発を廃止・禁止するか「当否をめぐる判断は、もはや司法の役割を超え」ているとして自らの役割を放棄する態度まで示しました。新規制基準を「最新の科学的・専門技術的知見を反映して制定されたもの」とし、原子力規制委員会の審査も無批判に認めました。

 同控訴審では、原発の耐震設計の要をなす「基準地震動」について、元原子力規制委員会委員長代理の島崎邦彦・東京大学名誉教授が「過小評価されている」と証言。同原発の基準地震動を導くには適切でない計算式を使ったことが明らかになりました。地盤調査でも、関電は震源の深さを最大で15キロと想定しながら、地下1・5キロまでの一部に調査をとどめるなど恣意(しい)的な評価も判明しました。

 2012年11月に始まった同訴訟は、14年5月、住民側が一審勝利し、続く同控訴審は昨年11月に結審。住民側は結審後、原子力規制庁が関電の火山灰想定を覆す見解を示したことも指摘して弁論再開を求めていました。

(「しんぶん赤旗」2018年7月5日より転載)


原発推進に追従 規制委も司法も・・大飯3・4号機 主体性ない無責任判決

 「司法としての主体性のない全くお粗末な判決」――。関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の差し止めを求めた原告代表の中嶌哲演氏は7月4日、名古屋高裁金沢支部での控訴審判決後、金沢弁護士会館の会見で、一審を取り消した高裁判決を批判しました。

 中嶌氏は「福島第1原発事故の風化」を指摘しつつ、福島事故以降、あらゆるアンケートで再稼働への反対の世論が示されていること、国会に原発ゼロ基本法案が提出されていことなどを指摘し、これらの大きな流れと結びついて「運動をどう展開していったらいいか、意見交換し、実際に行動していきたい」と述べました。

 原告側弁護団長の島田広弁護士は「あまりにひどい内容。想像を超えている。関電が対応不可能としている地震が来る可能性も否定していないにもかかわらず、福島を忘れ去ったかのような判決だ。極めて無責任な態度に終始した判決。裁判ですらない茶番」と強く批判しました。一方で「判決は原発の危険性を否定できていない。こうした中身しか書けない状況に裁判所は追い込まれた。我々の正しさが裏返して認められた。この判決で(大飯原発の)安全性が確認されたとは言えない」と指摘しました。

 脱原発弁護団全国連絡会の河合弘之共同代表は、「私たちは、決してあきらめない。勝つまでやります。何度でも」と運動の継続を宣言しました。

(「しんぶん赤旗」2018年7月5日より転載)