福島原発事故がなかったかのように原発再稼働を推進している安倍政権。大激戦の新潟県知事選(10日投票)は、事故を起こした東京電力の柏崎刈羽原発の再稼働の是非が最大の争点です。安倍政権、自民・公明の支持を受け、安倍政権の原発推進に理解を示す花角英世候補と、市民と野党が共闘し、「再稼働に同意しません」ときっぱり主張する池田ちかこ候補の違いはますます鮮明です。
安倍政権は福島原発事故後、原子力規制委員会のお墨付き(許可)があれば原発を再稼働させるという方針のもとに、これまで8基の原発を再稼働させました(図)。
明確に反対せず
マスコミの知事選候補アンケートで柏崎刈羽原発をめぐる賛否を問う質問で、「再稼働すべきだ」の意見に対し、「反対」と回答したのは池田候補。花角候補は「どちらとも言えない」と賛否を明らかにしていません(「朝日」新潟版6日付)。
安倍政権が今夏にも閣議決定をねらう「エネルギー基本計画」についても、違いがはっきりしています。
基本計画案は、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけて原発推進を宣言。2030年度までに、発電に占める原発の割合を現在の約2%から10倍の「20~22%」に向けて「全力を挙げる」と明記しています。これは30基台に相当し、現在は再稼働審査の申請がされていない東京電力福島第2原発や柏崎刈羽原発などすべての原発の再稼働と運転期間延長が前提です。
エネルギー基本計画に対し、池田候補は「エネルギー基本計画は、原発ゼロとは相いれない」と反対を表明。花角候補は「国が原発をベースロード電源と考えていることは理解しているし、当座は原発が必要」と明言し、原発再稼働容認の立場を隠しません(新潟日報5月27日付)。
世論無視で暴走
安倍政権が認定した東電の新たな経営再建計画「新々・総合特別事業計画」(昨年公表)は、収益改善として柏崎刈羽原発の再稼働を掲げ、6、7号機以外の2~4号機を順次再稼働した場合の試算もしています。
しかし、原発再稼働には課題が山積。重大事故が起きた時の住民の避難計画の実効性もその一つで、規制委が計画を審査の対象から外しており、住民の安全が置き去りです。
行き詰まりも明らかです。原発を動かせば発生する使用済み核燃料の貯蔵プールも計算上約6年で満杯となりあふれ出ます。柏崎刈羽原発6、7号機の貯蔵プールはすでに9割以上埋まっています。使用済み核燃料の再処理で出る「核のゴミ」も、処理や処分の見通しがありません。
なにより国民世論が再稼働に反対です。新潟県でも直近の世論調査で再稼働反対が15年の調査以来最多で、前回知事選と比べても上昇し65%に上ります(新潟日報4日付)。
安倍政権の再稼働路線は国民世論や課題を無視してきた暴走政治そのものです。
どの候補が再稼働推進の安倍政権の暴走に立ち向かい、県民の立場に立つのか、明らかです。
(「しんぶん赤旗」2018年6月8日より転載)