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福島に生きる・・コントや替え歌で訴え

 

原発ゼロをめざす須賀川の会 長井みさ子さん(69)

コントで原発ゼロを訴える長井みさ子さん

 原発ゼロをめざす須賀川の会(堂脇和秀代表)の長井みさ子さん(69)は、月1回の福島県須賀川市内のスーパー前でのアピール行動に参加しています。

 2012年11月から月に1度開かれているこの行動は4月15日で65回になりました。

 買い物客に効果的にアピールするために楽器を使っての替え歌や風刺のきいたコントによる訴えなど工夫を凝らしています。

 コントの台本を作っているのが長井さんです。コント「夢をあきらめない」の台本を見ると…。

■ホントに悲しい

  ナレーター 2011年8月の須賀川の町での出来事です。この年3月11日、東日本大震災と原発事故が起きました。

  女子高生ユキ 進路出さなきゃいけないよね。私、美術大学を受けようかと思うんだ。

  女子高生さくら (強い口調で)進路どころじゃないわ。放射能こわい。不安で、不安で…。私、内緒だけれども、好きな人いるんだ。

  ユキ え! そうなの

  さくら 先のことだけど結婚とか、子どもを産むとか考えると不安でこわい。

  ユキ そうだよね。ホントに悲しいね。

  さくら 私たち誰に訴えたらいいの!

  (中略)

■子ども守る活動

 「時事問題をわかりやすく、掛け合いながらストーリーをつくり、何が問題なのか気付いてもらうことに心がけています」という山形県出身の長井さん。教員の夫と結婚して、2児の母親になりました。子育て中は福島県内各地を転勤。会津地方や二本松市に転勤した時には、人形劇や絵本の読み聞かせ、子ども文庫活動に力を注いできました。

 これらと並行して新日本婦人の会で子どもを守る活動にも取り組んできました。壊れかけた学校の机・いすを新調させる活動、公立病院の院内保育所存続、児童館設立などの要求を仲間とともに実現させてきました。

 この頃の長井さんにとっての大きな出来事は、中学生になったわが子の不登校でした。

 長井さんは、息子を責めないで正面から向かい合いました。「教員組合の先生たちや新婦人の仲間に支えられたからだ」と、当時を振り返ります。

 こうした経験から子どもを守るためには教師と手を結んでいかなければと強く思うようになりました。理不尽なことには黙っていない、発信していくことが長井さんの信条となりました。

 「原発事故は未来をこわす最悪の出来事。次世代の人々と一緒に声を上げていかなければなりません」と、街頭で訴えています。

 「若いママたちに、『私も主権者、政治の主人公。声を上げていいんだ』と気付いてもらうには身近な問題との関連が必要です。それにはコントが一番表現できます」と、ニュースに即した創作に余念がありません。

 「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の原告でもある長井さん。「原告団の力で裁判官に現地検証をさせ、一審で勝訴させました。たたかいは仙台高裁に移ります。原告当事者が動くことが裁判所を変えていく力です」と力を込めます。(菅野尚夫)

(「しんぶん赤旗」2018年5月6日より転載)