東京電力福島第1原発事故で、福島県から東京都内などに避難した17世帯47人の住民が、6億円あまりの損害賠償を求めた訴訟の判決が3月16日、東京地裁(水野有子裁判長)でありました。水野裁判長は、国と東電は連帯し、計約5900万円を原告42人に支払うよう命じました。
全国で約30ある同種の集団訴訟で国の責任を認めたのは4件目。原告団・弁護団は「被告らの加害責任に関する論争は決着がついたもの」とし、「謝罪し、誠意ある対応をすべきだ」との声明を発表しました。
判決は、2002年に国の機関が公表した、福島沖を含む区域でマグニチュード8クラスの津波地震の発生確率を推定した「長期評価」をもとに、敷地を超える津波を予見できたと指摘。国は06年末までに東電に対し規制権限を行使していれば「事故は回避できた」と認定。権限の不行使には違法性があるとしました。
原告のうち46人が、国の避難指示区域外からの「自主避難者」。判決は「放射性物質による健康への侵害の危険が一定程度あるとして、避難を開始した判断は合理的」と認めました。また、事故で避難するか居住地の生活を継続するかの選択を迫られること自体が、自己の生活の本拠を自由な意思によって決定する権利(「居住地決定権」)の侵害だと指摘しました。
ただ、賠償対象の期間は11年12月まで(子どもと妊婦は12年8月まで)と限定。
原告団長の鴨下祐也さんは「国の責任が認められてうれしい。区域外の避難が被害者として認められた」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2018年3月17日より転載)