官民で進めている原発のトルコヘの輸出計画の総事業費が、安全対策の強化などで当初想定していた2兆円の2倍以上に膨らむ可能性があることが、3月15日分かりました。目標としていた2023年の稼働開始は不遜明に。政府は成長戦略として進める原発輸出で、費用負担も含めた計画の見直しを迫られます。
トルコは黒海沿岸のシノップに原発4基を建設する計画。三菱重工業をはじめとする日仏企業連合による受注が2013年に事実上確定していました。
具体的には、三菱重工と仏アレバが共同開発した中型加圧水型原子炉(PWR)「アトメア1」を建設する予定。三菱重工が3月末の終了を目指して事業化調査(FS)を進めてきましたが、総事業費の大幅な増加が避けられず、費用負担の調整などで稼働開始の遅れも必至の情勢となっています。
事業費の大幅な増加は、東京電力福島第1原発事故を受けた安全対策の強化が主因。トルコ側は事業費拡大も踏まえ、今後、計画を続行するかどうか検討を本格化するとみられます。
トルコヘの原発輸出は安倍晋三首相がエルドアン大統領との直接会談を重ねて受注にこぎ着けました。事業費の負担割合などをめぐり、今後トルコ政府との難しい交渉を余儀なくされそうです。
(「しんぶん赤旗」2018年3月17日より転載)