日本共産党の笠井亮議員は6日の衆院予算委員会で、英国へ原発輸出をすすめる日立製作所のプロジェクトを日本政府が推進している問題を取り上げ、「巨額の損害が出た場合は、そのツケを国民に回すことになる」と批判しました。(論戦ハイライト)
日立は英国で事業費3兆円規模の原発新設計画を進め、2019年ごろに最終投資決定、20年代前半に運転開始を目指すとしています。笠井氏は、東京電力が福島原発事故を起こし、世界でも原発撤退の流れが強まるなかで日本政府が日立の原発輸出を後押ししていることを批判。17年12月に日英両政府のエネルギー担当相が交わしたとされる「書簡」で「資金面を含む協力内容が取り決められているのではないか」と迫りました。世耕弘成経済産業相は「外交上のやりとりに関することで答えはさし控える」と述べたものの、「書簡」の存在は否定しませんでした。
笠井氏は、安倍晋三首相が議長をつとめる「未来投資会議」(16年12月19日)で、日立の中西宏明会長(次期経団連会長)が「政府がリスクを民間とシェアすることが出発点」「原子力でそういう議論を真剣にしており、日本政府からもご支援いただいて、大変ありがたい」と発言していることを指摘。また、笠井氏が日立社員の経産省への出向状況をただすと、人事院の福田紀夫人材局長は「16年に1名が交流採用されている」と認めました。
さらに、笠井氏は、日立の原発新設計画には、政府全額出資の日本貿易保険(NEXI)を活用して100%の政府保証を付けることも可能だとして、NEXIが17年12月、日立に提出したとされる「趣意書」で「保証を承諾することが明記されているのではないか」とただしました。NEXIの板東一彦社長は「個別案件については存否を含めて説明を控える」としか答えませんでした。
笠井氏は「100%政府保証をつければ、ツケはすべて国民に回ることになる」として、「国会と国民に事実を示すべきだ」と強調。「『もうけは日立と原発利益共同体へ、損失は国民へ』という原発輸出はキッパリやめよ」と主張しました。
(「しんぶん赤旗」2018年2月7日より転載)