1988年に発効し今年7月に期限を迎える日米原子力協定が1月17日、自動延長されました。協定の破棄や再交渉には6カ月前からの文書による通告が必要ですが、期限となる16日までに日米両政府ともに行わなかったためです。
協定は、原発の使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを抽出し再び発電に使う「核燃料サイクル」を認めるもの。また、“再稼働の生命線”である原発の燃料(濃縮ウラン)の調達や資機材の導入などを取り決めています。
河野太郎外相は昨年8月、同協定の「あり方」を検討するとして、「使用目的のないプルトニウムを持たないことは世界共通のことだ」と述べていました。しかし、菅義偉官房長官は16日の記者会見で、「わが国の原子力活用の基盤の一つを成すだけでなく、日米関係の観点からも極めて重要だ」と延長の意義を強調しました。
一方、福島原発事故が収束しないもとで、原発再稼働や「核燃料サイクル」への反対が国民世論の多数を占めています。
すでに「核燃料サイクル」の破綻は明確になっています。プルトニウムを燃料とする高速増殖炉「もんじゅ」は事故が相次ぎ、2016年12月に廃炉が決定。建設中の青森県六ケ所村の再処理施設は稼働が見通せない現状です。
また、日本は核兵器の原材料となるプルトニウムを国内外で47トン保有しており、核不拡散の観点から国内外からの懸念が強まっています。内閣府の原子力委員会(岡芳明委員長)は16日、「利用目的のないプルトニウムを持たない」との原則を掲げる委員会決定の改定を決定しました。しかし、政府方針として、現保有分や再処理の過程で生じる高レベルの放射性廃棄物の処分は不明確なままです。
(「しんぶん赤旗」2018年1月18日より転載)