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原発めぐる攻防・・再稼働中止、「ゼロ」へ決断を

 原発再稼働の加速を狙う安倍晋三政権や電力業界と、市民との対決が2018年も激しくなります。東京電力福島第1原発事故からまもなく7年ですが、原因究明も尽くされず、事故収束の見通しもたっていません。この間多くの原発が停止していても電力は足りており、原発がなくても日本は十分にやっていけることが証明されています。安倍政権が原発推進に執着するのは電力会社の利益を最優先にしているからです。住民と国民の安全を守るために再稼働中止、「原発ゼロ」の決断を迫る世論と運動がますます重要です。

安全保証せぬ規制委審査

 昨年末、政府の原子力規制委員会が東京電力の柏崎刈羽原発6、7号機の審査で「適合」の判断を出しました。年が明け東電社長が米山隆一新潟県知事に会い、審査を受けて2基の工事計画をすすめると表明、知事は福島原発事故の検証がされない限り再稼働の議論は始められないと強調しました。全国どこでも再稼働は許されませんが、柏崎刈羽原発は、事故を起こした東電の原発であるだけでなく、福島原発と同じ沸騰水型です。いまだ約6万人の県民が避難生活を強いられ続けていること一つとっても、東電に原発を運転する資格がないことは明白です。

 全国の原発40基のうち、現在稼働しているのは関西電力高浜原発3、4号機(福井県)と、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)の4基です。このほか規制委は10基について「適合」を出しており、うち関電大飯原発3、4号機(福井県)と九電玄海原発3、4号機(佐賀県)は3月以降に再稼働が狙われています。

 安倍首相は規制委が「適合」と認めた原発は再稼働させるといいますが、審査は安全を保証するものではありません。住民の避難計画や「集中立地」の危険については審査の対象外です。再稼働する場合の同意も県と原発が立地する自治体だけで、周辺の自治体からは異論がでています。

 広島高裁が昨年12月、四国電力伊方原発3号機(愛媛県)の運転差し止めを命じる決定を出しました。阿蘇山(熊本県)の噴火による影響を指摘し、伊方原発の「立地は不適」と断じたことは、火山国・日本で原発を動かす危険性を司法が強く警告したものです。再稼働に全く道理はありません。

 経団連次期会長に内定した原発メーカー日立製作所の中西宏明会長は「再稼働は必須」との考えを示しました。日立は国内で原発を推進するだけでなく英国で原発新設計画もすすめており、日英で総額3兆円もの投融資を受ける方向で政府系金融機関や3大銀行と協議しています。政財官一体となった原発輸出はやめるべきです。

党派超えた取り組み強め

 安倍政権は次期エネルギー基本計画の見直し議論を始めていますが、原発を「重要なベースロード電源」と位置づける姿勢を変えようとはしていません。原発に固執する政治の転換は急務です。

 民間団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)」が、運転中の原発停止、再稼働させない、2050年まで全電力を自然エネでまかなうなどの「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を発表したことはきわめて重要です。党派を超えてこの方向が実るよう努力することが今求められます。

(「しんぶん赤旗」2018年1月16日より転載)