もんじゅ廃炉30年計画・・使用済み核燃料の行き先未定 原子力機構提出
日本原子力研究開発機構は12月6日、高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃止措置(廃炉)計画の認可申請書を、原子力規制委員会に提出しました。機構は、2048年3月までに廃炉を完了するとしています。しかし、原子炉を冷却するために使った液体ナトリウムの抜き取りの方法は今後の検討課題とされ、さらに原子炉内外にある約30トンの使用済み核燃料(ウラン・プルトニウム混合酸化物=MOX燃料=など)の行き先も決まっておらず、課題は山積し、工程通りいくかどうかは不透明です。
原子力規制委員会の更田豊志委員長は会見で「燃料の取り出し一つとっても簡単なことではない」と指摘しました。
機構の計画は廃炉期間を2048年3月までの約30年とし、全体の工程を4段階に区分。廃炉費用は総額約1500億円と見積もり、このほか維持管理費約2250億円や耐震補強などの費用が必要になるといいます。
今回の申請では、第1段階に当たる核燃料の取り出し期間のみ、具体的な工程を記載。認可が下り次第、来年度中にも燃料取り出しを始め、23年3月までに530体すべての原子炉内などからの取り出しと、2次系からの放射能を帯びていない冷却材ナトリウムの抜き取りを終えるとしています。
(「しんぶん赤旗」2017年12月7日より転載)
課題は山積している・・もんじゅ・廃炉計画
日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃止措置計画が、廃止方針決定から約1年後にようやく原子力規制委員会に提出されました。
機構の計画では、廃止措置の工程を、第1段階の燃料の取り出し、第2段階のナトリウム機器の解体準備、第3段階のナトリウム機器の解体撤去、第4段階の建屋等の解体―と4段階に区分し進めていくとしています。
しかし、課題は山積しています。
第1段階の核燃料(ウラン・プルトニウム混合酸化物=MOX燃料=など)の取り出しは、2023年3月までに終える予定ですが、機構が実際に、炉心から燃料を取り出し、水を張ったプールまで運んだ経験は過去に2体です。
原子炉を冷やすための反応性の高い液体ナトリウムは少量でも水に触れると爆発的な反応を起こします。ナトリウムに満たされた炉心には370体、炉外燃料貯蔵槽には160体の使用済み燃料などが存在します。計530体の取り出しが計画通りに進むのか懸念されています。
第2段階以降の1次系からの放射能を帯びたナトリウム抜き取りの具体的な方法は、今回の計画には示していません。
また、放射性廃棄物の発生量を計約2万6700トンと推定していますが、ナトリウムは含まれていません。さらに放射能レベルの区分ごとの発生量は、今後の調査を待つとしています。
さらに使用済み燃料の行き先やナトリウムの処理、処分の方法は政府による結論をふまえて、計画に反映するとしており、ここでも具体的なものは示されていません。
機構は、第4段階の終了を47年度としていますが、機構の願望を示したにすぎません。 (松沼環)
(「しんぶん赤旗」2017年12月7日より転載)