事故が起きれば甚大な被害をもたらす原発。その廃炉の道のりの険しさは東京電力福島第1原発の現状が物語っています。
1年前に廃炉が決まった高速増殖炉もんじゅも廃炉は容易でないといいます。運営する日本原子力研究開発機構が廃炉計画の認可を原子力規制委員会に申請しました。政府が核燃料サイクルの中核施設として位置づけ、1兆円を超える国費を投入した原発です。
ナトリウム漏れ・火災事故や炉内装置の落下事故、膨大な機器の点検漏れなどトラブル続きで、運転実績は1年にも満たない250日しかありません。規制委が計画を認めれば廃炉作業にかかるといいますが、その内容には首を傾(かし)げます。
廃炉工程を30年間と見込み、2047年度までに建物を解体して廃炉を完了するという、おおざっぱなもの。総経費は約3750億円といいますが、膨らむのは必至です。原子炉を冷やすために液体ナトリウムを使った高速増殖炉の廃炉も初めてのことです。
しかし、放射能を帯びたナトリウムの抜き取り方法は書かれていません。水に触れると爆発的な反応を起こすナトリウムの取り扱いが難しいためです。その量は760トンに上ります。
毒性の強いプルトニウムを使った核燃料の取り扱いも同じ。申請書には、使用済み核燃料を「国内外の事業者に譲渡する」とあるだけで、行き先は決まっていません。「政府が結論を得る計画を踏まえ」などと国任せ。廃炉もままならない。原子力行政の無責任さがここにも露呈しています。
(「しんぶん赤旗」2017年12月10日より転載)(見だしは、山本雅彦)