名古屋高裁支部
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)に対する運転差し止め訴訟の控訴審は11月20日、口頭弁論が名古屋高裁金沢支部で開かれ、住民側から徹底審理の要求が相次いだにもかかわらず審理は終結されました。
裁判はこれまで、前原子力規制委員会委員長代理の島崎邦彦・東京大学名誉教授の証人尋問などにより、関電の地震動算定や地下地質構造調査の不十分さが明らかになることで「基準地震動」が過小評価されている可能性が浮き彫りとなり、関電の主張が根本から崩れていました。しかし、裁判所は、住民側が行った新たな証人申請も裁判官の忌避申し立ても却下しました。
この日の弁論で住民側は、「主張・立証は尽くされていない」として、関電が持つ調査の生データの提出を改めて求めるとともに、さらに新たな証人申請を行いました。裁判所はこれまで「出すものは出して判断」すべきだとしていましたが、申請を却下。これに対し、住民側か改めて裁判官の忌避を申し立てると、裁判所は「忌避権の乱用だ」として審理終結を強行しました。
傍聴席からは「審理は尽くされていない」「茶番だ」などの怒りの声が上がりました。報告集会で、中鴬哲演代表は「怒りをみなさんと共にしたい」、住民側弁護団長の島田広弁護士は「福島事故をどれだけ受け止めたのか心の底から問いたい」と訴えました。同訴訟は、一審で福井地裁が2014年5月、関電の地震対策に欠陥があるとして運転差し止めを命じる判決を下し、関電が控訴していました。
(「しんぶん赤旗」2017年11月21日より転載)