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沈下後の基準 周知せず・・福島第1 水位逆転で東電報告

 東京電力福島第1原発の地下水くみ上げ用の井戸の水位設定を誤り、建屋地下に滞留する放射能汚染水の水位よりも井戸の水位が低くなった問題で、東電は10月30日、原子力規制委員会の検討会で経緯を報告しました。

 1号機の建屋近くにある井戸の水位が今年5月、最大で約19ミリ、建屋地下の汚染水の水位より低くなる逆転状態が生じたもので、汚染水が外部に漏れ出す恐れがありました。

 東電によると、同原発の敷地は2011年の東日本大震災で約70センチ地盤沈下し、標高差の混乱を避けるため水位管理の基準を2015年に変更したものの、十分周知されませんでした。測量した施工会社が震災前の標高に基づいて井戸の高さを設定したといいます。水位も誤った設定となり、地下水が過剰にくみ上げられる状態になりました。

 福島県の高坂潔・原子力総括専門員は「(周辺の井戸と)値を比較していれば、誤りに気づいたのではないか」と指摘。原子力規制庁の山形浩史・緊急事態対策監から「チェック体制が形式的になっているのではないか」と疑問の声が上がりました。

 東電福島第1廃炉推進カンパニーの増田尚宏プレジデントは「本来やるべきことができていなかった」と述べました。

 東電は30日、地下水くみ上げ用の井戸で運転上の制限の逸脱がないか、総点検を実施したと発表しました。

(「しんぶん赤旗」2017年10月31日より転載)