原子力規制委員会は10月25日、日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センター(茨城県大洗町)で起きた5人の作業員の被ばく事故に関して原子力機構がまとめた最終報告書について、内容が不十分として、再提出を求めました。
事故は6月、同センターの燃料研究棟で放射性物質の点検中に起きました。実験に使ったプルトニウム酸化物を樹脂で固めてビニール袋で密封していましたが、長期間保存するうちに樹脂が放射線で分解されガスが発生。点検時に袋が破裂して放射性物質が飛び散り、作業員5人が内部被ばくしました。
同機構は、先月29日、規制委に報告書を提出。過去の点検時に袋の膨張が確認されていたのに情報が引き継がれなかったことなどを問題点として指摘していました。
規制委は、報告書について、組織的要因や背後要因の抽出もなく、機構として他施設へ対策をどのようにおこなうかの方針が示されていないと指摘。さらに、内部被ばくの評価も、同機構としての評価の記載がないなどと批判しています。
このため、規制委として、必要な記載を追加して改めて提出を求めることにしました。
また、規制委は、同機構の内規にあった貯蔵時の放射線分解によるガス発生への注意が記載されながら考慮されていなかったことなど、5件の保安規定違反を認定しました。
(「しんぶん赤旗」2017年10月26日より転載)