「核のゴミ」 処分地地図に疑問も・・意見交換会「どこが科学的か」
原発の使用済み核燃料の再処理で出る高レベル放射性廃棄物(「核のゴミ」)を地下に埋める最終処分地選定で調査対象になり得る地域を示した全国地図について、政府は10月17日、住民との初の意見交換会を都内で開きました。応募した約130人が参加しました。参加者は「破綻(はたん)した核燃料サイクルを基本にしているのは不適切だ」という意見や、「科学的」と銘打つ地図への疑問が出されていました。
政府は処分方法として、使用済み核燃料を溶かしてガラスと混ぜた固化体を地下300メートルより深い場所に埋める「地層処分」を前提にしています。地図は7月に政府が「科学的特性マップ」と題して公表。近くに火山や活断層がないことなどを基準に全国を4色に塗り分け、処分場として「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い」などと区分をしています。なかでも海岸から20キロ以内は「輸送面からも好ましい」地域として濃い緑色に塗り、含まれる市町村皿全国の自治体の半数になるといいます。
3時間ほどの意見交換会の前半は地層処分に関する映像上映、政府や実施主体である政府の認可法人・原子力発電環境整備機構(NUMO)の説明が大半。43人が参加した少人数ごとの意見交換は1時間ほどで、NUMOの職員らが応対。「地図のどこが科学的なのか」などの疑問が出ていました。参加した男性(59)は、「核燃料サイクルがうまくいかない場合の質問にNUMOは答えられないし、地下水の説明も疑問が払拭できなかった」と話していました。
(「しんぶん赤旗」2017年10月18日より転載)
原発被害根絶へ努力・・生業訴訟 各団体などに要請
控訴を検討「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟弁護団は10月17日、福島県庁内で記者会見し、10日の福島地裁判決の評価と今後の方向性について明らかにしました。
会見した馬奈木厳太郎弁護士は「原告被害者と弁護団、専門家の団結した力が東京電力と国の責任を認めさせる判決を勝ち取った」と分析。①賠償枠組みの見直し②福島原発事故に対する法制度の見直し③原発被害の根絶のために、国の政策として脱原発を求めること、少なくとも福島県内のすべての原発の廃炉を求めること―などについて広く要請することを明らかにしました。
すでに福島県内の農業協同組合、商工会議所、商工会連合会などに判決内容を説明し、要請しています。さらに、福島市、郡山市、いわき市、会津若松市など各自治体、各政党、衆院選候補者への要請活動に取り組んでいることを明らかにしました。
同原告団・弁護団は、原状回復やふるさと喪失慰謝料など認められなかった点、賠償枠組みの見直しなど不十分な点についてさらに前進させるために高裁に控訴する方向で検討をしているとしました。
控訴については「23日には決めたい」としています。
(「しんぶん赤旗」2017年10月18日より転載)