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福島第1 井戸水位建屋下回る・・東電設定ミス 汚染水漏れの恐れ

 東京電力福島第1原発1号機の建屋近くにある地下水くみ上げ用の井戸の水位が、今年5月17~21日に少なくとも8回、最大で19ミリ、建屋地下の放射能汚染水の水位より低くなる逆転状態が生じていたと東電が9月29日発表しました。地下水位が低くなると、建屋地下にたまっている高濃度の放射能汚染水が外部に漏れ出す恐れがあり、東電の管理責任が問われる事態となっています。

 水位逆転があった井戸は今年4~8月にかけ、1~4号機周囲に新設した六つの井戸の一つ。他の五つの井戸の水位は、近傍の建屋地下の水位より低くなった期間はなかったといいます。

 井戸を設けた際に水位設定を誤り、実際には水位計の指示値より約70センチ低い状態であることが28日に判明したとして、東電は同日、運転上の制限を逸脱した状態だと判断し原子力規制委員会に報告しました。

 東電はこれまで、汚染水流出を懸念する声に対して、建屋地下の放射能汚染水の水位より地下水位が高ければ、汚染水が外部に漏れる恐れはないと説明してきました。福島県はこれまで繰り返し水位が逆転しないよう東電に要請。原発業界団体の元幹部は「東電の管理能力が問われている」と指摘します。

 六つの井戸の水を分析したところ、放射性物質濃度は検出限界値未満でした。

 水位逆転をめぐっては8月2日、4号機原子炉建屋近くの井戸の水位が一時急低下し、建屋地下の汚染水の水位より低くなったにもかかわらず、水位計の故障だと誤って判断し公表が遅れました。

 東電は29日、運転上の制限の逸脱から回復したと判断し、地下水のくみ上げを再開しました。

(「しんぶん赤旗」2017年9月30日より転載)