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国の責任再び認めるか・・集団訴訟2件目の判断/原発非難訴訟 千葉地裁あす判決

千葉地裁判決を前に開かれた原告・弁護団の決起集会=9月2日、千葉市

 東京電力福島第1原発事故で福島県から千葉県に避難した住民らが、国と東電に約28億円の損害賠償を求めた干葉訴訟の判決が9月22日、千葉地裁で出されます。同種の集団訴訟は全国で30件近くあり、1万1000人以上が参加しています。今年3月の前橋地裁は国と東電の責任を初めて認めており、2件目の判決として注目されます。

 原告は避難区域外からの避難者を含む18世帯45人。平穏な生活権を侵害されたとして、避難を余儀なくされたことによる精神的苦痛への慰謝料のほか、住み慣れたふるさとを失ったことに対する「ふるさと喪失慰謝料」として1人当たり2000万円を請求。土地や建物、田畑などに対する個別の損害請求も求めています。

  大津波の予見は

 裁判の最大の焦点は、国や東電が大津波を予見できたか、事故を回避できたかどうかです。

 原告側は、政府機関が2002年に公表した「長期評価」について「高度の信頼件があった」と指摘。福島県沖を含む三陸沖北部から房総沖で大津波を起こすマグニチュード8クラスの地震発生確率を「30年以内に20%程度」と推定し、国と東電は敷地を超える津波の到来を容易に予見できたと主張。非常用電源設備の高台設置など対策をすれば事故は回避でき、国は規制権限行使の義務を怠ったと訴えています。

 「長期評価」をまとめた前原子力規制委員長代理の島崎邦彦氏は原告側証人として証言し、「長期評価」を理解していれば津波の到来を予測できたし「有効な対策は立てられたはずだ」と述べました。

 国側は「長期評価は確立した知見ではなかった」と反論。原告側の主張する対策でも事故は防げなかったと主張しています。

  賠償額どこまで

 賠償額の認定では、国の原子力損害賠償紛争審査会の中間指針を上回る賠償が認められるのかどうか、ふるさと喪失慰謝料を認めるかどうかも焦点です。前橋地裁では、東電がすでに支払った賠償金を差し引くなど非常に低額で、原告の大半の請求を棄却しました。

 原告・弁護団の決起集会(2日)で講演した元裁判官の井戸謙一弁護士は、「前橋地裁は片足を踏み出した。千葉地裁は、その踏み跡に片足を乗せて、さらに反対の足を踏み出させなくてはいけない」と訴えました。

(「しんぶん赤旗」2017年9月21日より転載)