東京電力は8月22日、福島第1原発の放射能汚染水対策として1~4号機周囲の地盤を凍らせる「凍土壁」(陸側遮氷壁、全長1・5キロ)で、計画的に未凍結としていた山側の1力所(約7メートル)の運用を始めました。昨年3月の運用開始から、初めて全面運用されました。同箇所は地下水の流れが速く凍りにくいため、効果が表れる時期について東電は分からないと説明。
凍土壁は、地下水が建屋にたまっている高濃度放射能汚染水と混ざり新たな汚染水となるのを抑制するのが狙い。しかし、地下水位が建屋内の水位より下がると汚染水が外部に漏れ出るため、地下水の通り道を残して段階的に凍結を進めていました。
東電は、凍土壁のほか、敷地内の地下水くみ上げ、雨の浸透を抑える舗装など汚染水対策をとってきました。建屋の地下水流人量は当初1日当たり400トン程度でしたが、最近では同約140トン程度に減少。凍土壁の全面凍結で、同100トン未満まで減少すると見込んでいます。
最大の課題である地下水位の管理をめぐっては今月2日、4号機近くの井戸の水位が一時、建屋内の水位より低くなる異常事態が起きましたが、東電は水位計の故障と誤って判断し、通報や公表が遅れました。東電は、「外部への連絡や社内の情報共有に問題があった」として、反省を踏まえ対応したいとしています。
(「しんぶん赤旗」2017年8月23日より転載)