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老朽原発に交付金加算・・5自治体に27億円 廃炉へ逆行

運転40年超原発立地自治体への交付金上乗せ額(2016年度時点)

 運転開始から40年超の老朽原発を抱える福井県美浜町など5市町に、電源立地地域対策交付金の加算分として2016年度までに計27億円か交付されたことが7月25日までに、立地自治体などへの取材で分かりました。交付金は40年を超えた原発の立地市町村に年1億円上乗せされますが、老朽原発の存続を事実上後押しする仕組みに専門家からは、「廃炉を促すべきなのに逆行している」と批判が出ています。

 原子炉等規制法は、原発の運転期間を原則40年に制限しています。

 これまでに国内で40年を超えたのは東京電力福島第1原発1号機(福島県大熊町)、日本原子力発電敦賀原発1号機(福井県敦賀市)、関西電力美浜原発1~3号機(同県美浜町)、同高浜原発1、2号機(同県高浜町)、中国電力島根原発1号機(松江市)の計8基。このうち美浜3号機と高浜1、2号機を除いた5基は廃炉となりました。

 5基は40年を超えてから廃炉となるまで、交付金が年1億円加算されました。福島第1原発1号機が立地する大熊町は計2億円▽敦賀1号機がある敦賀市は計6億円▽美浜原発がある美浜町は廃炉の1、2号機と存続する3号機で計11億円▽高浜1、2号機がある高浜町には計5億円▽島根1号機がある松江市は計3億円―が上乗せされました。

 美浜3号機と高浜1、2号機は、原子力規制委員会の審査で20年間の運転延長が認められています。3基が期限まで存続すれば加算額は累計で60億円となります。

 40年超の原発について交付金が加算される仕組みは10年度から始まりました。経済産業省資源エネルギー庁は「なぜ、このような制度になったか把握はしていない」としています。

 原発と自治体の関係に詳しい朴勝俊・関西学院大教授は「原発は古くなるほど危険なのに、交付金を加算するのはいやらしい。廃炉が地元のメリットになる制度に変えるべきだ」と話しています。

(「しんぶん赤旗」2017年7月26日より転載)