日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > 事故6年ようやく・・福島第1原発デブリ確認か/全体像不明 取り出し困難

事故6年ようやく・・福島第1原発デブリ確認か/全体像不明 取り出し困難

 東京電力福島第1原発事故が発生してから6年4カ月余り。ようやく、3号機の原子炉圧力容器直下に投入した水中ロボットのカメラが、溶け落ちた核燃料(デブリ)らしき物体をとらえました。しかし全体状況を把握したというにはほど遠い状況です。気の遠くなるような廃炉への道のりが、原発事故の現実として迫ってきます。

(中村秀生)

制御棒を動かす装置の下部で見つかった、つらら状の塊(左上)=7月21日、福島第1原発3号機(国際廃炉研究開発機構提供)

 「デブリの取り出しに向けて、ペデスタル(圧力容器を支える台座)の上部の状況、損傷具合、構造物がどういう状況になっていたのか、非常に多くの情報が得られた。大きな一歩だと考えている」

 東電の木元崇宏(たかひろ)原子力・立地本部長代理は7月21日の会見でこう述べました。

 一方、その一歩が早かったのか遅かったのかと問われると、「一歩一歩やってきたつもりだが、6年半近い時間が結果としてかかってしまった。早いか遅いかは、私の口からは難しい」と言葉を濁しました。「廃炉という大きなターゲットからいうと、まだまだ始まったばかりかもしれない」

 炉心溶融(メルトダウン)を起こした1〜3号機。原子炉建屋内は厳しい放射線環境のため人が容易に近づけず、原子炉格納容器内部の状況はほとんど把握できていません。

 今回の調査で、水中口ボットは、カメラ映像を見ながら遠隔操作しました。ケーブルが後方で引っかかっていないか、監視しながらの推進です。神経を使う作業での疲弊、ロボットの耐水性の問題もあり、調査の継続には限界があります。

 1号機のロボット調査は、正体不明の堆積物のため多くの情報が得られませんでした。2号機に投入された自走式ロボットは、堆積物に阻まれ目標地点に達しませんでした。

 米スリーマイル島原発事故(1979年)は、デブリが圧力容器内にとどまったにもかかわらず取り出しに約10年かかりました。デブリが格納容器の広い範囲に分散している福島第1原発1〜3号機が30〜40年で廃炉できる保証はありません。

 

(「しんぶん赤旗」2017年7月23日より転載)