東京電力の川村隆会長による福島第1原発の放射性物質トリチウム汚染水の海洋放出発言について、日本共産党福島県議団の神山悦子団長らは7月19日、県庁内で東電福島復興本社の佐藤英俊副代表らと会い、抗議文を手渡しました。福島第2原発をめぐる発言についても抗議するとともに、直ちに廃炉を決断するよう求めました。
神山団長は、原発事故後に福島県の漁業は全面的な操業停止とされ、現在は一部の魚種を除いて試験操業しているものの、風評被害も含めて今後も大きな障害を抱えざるを得ないと指摘。「川村会長の海洋放出発言は、県民の理解や漁業者との合意がないもので、断じて容認することはできず、強く抗議する」と述べました。
同氏はまた、福島第2原発の廃炉に関しても同会長が原子力規制委員会の聴取の際、「原子力は必要との国民の声もある。原発を動かすのも東電の責任だ」と話したことに言及。県議会、全市町村議会での意見書・決議、県民の8割を超える廃炉要求世論を無視するものだとして、「強く抗議するとともに、直ちに福島第2原発の廃炉を決断すること」を求めました。
佐藤副代表は「東京本社に抗議文とやりとりを伝える」と述べました。同氏はまた、トリチウム汚染水処理については「最終的な方針は、関係者との十分な議論と理解を得て進めたい」、福島第2原発廃炉に関しては「廃炉を含めてスピーディーに結論を出していく」と述べるとともに、「新潟の柏崎刈羽原発の再稼働は福島の状況との違いを認識して取り組んでいる」と話しました。
「私の名使った」・・規制委員長怒る
原子力規制委員会の田中俊一委員長は7月19日の定例記者会見で、東京電力の川村隆会長が福島第1原発の汚染水処理について「田中委員長と同じ考え」という趣旨の発言をしたことを挙げ、「私の名前を使って言うのは、はらわたが煮えくり返る」と怒りをあらわにしました。
川村会長は今月、一部メディアのインタビューで、トリチウムを含む汚染水の海洋放出に言及。東電はその後、「科学的、技術的見地に基づく現行の規制、基準に照らし問題ないという、田中委員長らの見解と同様」との趣旨であり、放出すると決めたわけではないと釈明していました。
会見で田中委員長は、川村会長ら東電新経営陣との10日の面談で「地元ときちっと向き合ってほしい」と求めたと指摘。放出の理由として自身の見解を使われたことを、「誰かのせいと口実にするのは向き合う姿勢とは違う」と批判しました。
(「しんぶん赤旗」2017年7月20日より転載)