日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター(茨城県大洗町)で作業員5人が被ばくした事故で、原子力機構が作業計画にない放射性物質の詰め替えを以前から行っていたことが6月23日、原子力規制委員会の立ち入り検査で分かりました。規制委は保安規定違反の疑いもあるとみて調査を進めます。
事故は6日、同センターの燃料研究棟で発生。貯蔵容器の点検中、放射性物質が入ったビニール袋が破裂し、作業員5人の体内から微量のプルトニウムなどが検出されました。規制委は23日、2度目の立ち入り検査を行いました。
規制委によると、作業計画では「貯蔵容器の点検と汚染検査を行う」とされていましたが、今年2月以降に行われた容器30個の点検では、空き容器を作るため内容物の詰め替えなども行っていました。
昨年11月と今年3月には、破裂したものとは別の容器やビニール袋の表面で高い放射線量を計測。保安規定では毎時1ミリシーベルトを被ばくする可能性がある場合、「放射線作業届」を作成することになっていますが、機構は作っていませんでした。規制委の聞き取りに対し、機構の担当者は「検討が不足していた」と釈明したといいます。
(「しんぶん」赤旗2017年6月25日より転載)
東電福島第1原発 この1週間
■6月19日 護岸の汚染地下水発生量の抑制を目的に、タービン建屋の屋上に降った雨が建屋周囲の地面に流れ落ちるように、雨どいを設置する工事が2号機で完了。浸透した雨水が護岸へ向かう前に、建屋周囲の井戸(サブドレン)からくみ上げる計画です。今後、建屋近くを流れるK排水路を通じて港湾に排水するための工事も行います。1、4号機タービン建屋も同様の工事を実施中。3号機タービン建屋は高線量のため、工法を検討中といいます。
■23日 東芝と国際廃炉研究開発機構(IRID)が、廃炉作業のための実験施設を報道公開しました(写真)。東電は、原子炉を水で満たした上で、溶け落ちた核燃料(デブリ)を取り出す方法を検討しており、損傷した圧力抑制室の穴をふさいで水漏れを防ぐ技術を確立する狙い。実験では、原子炉の模型を使い、あらかじめ水を入れた圧力抑制室にホースを差し込み、約200立方メートルの特殊コンクリートを8時間かけて注入。コンクリが同抑制室の底部に均等に広がるか確認します。実際の現場は放射線量が高く、長時間作業ができないため、ホースによる注入作業は遠隔操作で行います。
(「しんぶん」赤旗2017年6月25日より転載)