【ワシントン=遠藤誠二】米国で相次ぎ原発の閉鎖が決まり、コスト面などからの原発閉鎖の方向が鮮明になってきました。
5月30日には、米電力大手エクセロン社が1979年に米国史上最悪の炉心溶融事故を起こした米東部ペンシルベニア州のスリーマイル島原子力発電所を2019年に閉鎖すると発表しました。
同原発は、過去に重大な事故を起こしたにもかかわらず、米原子力規制委員会(NRC)から34年までの運転認可が与えられていました。近年はシェールガスなどの価格が下がり、競争力が低下し採算があわないことなどが閉鎖の原因とみられます。
米国では数力所で新たな原発が建設中ですが、遅延と大幅な予算超過に苦しんでいます。一方、閉鎖する原発も相次いでおり、NRCによると稼働中の原発は現在100機(51事業所)。今年1月には、ニューヨーク州のクオモ知事が、ニューヨーク市近郊のインディアンポイント原発を前倒しして21年に閉鎖することを発表しました。全国で13年から六つの原発が認可期限切れ前に閉鎖予定。スリーマイル島原発を含め今後5年間で新たに5基が廃炉となります。
今回、閉鎖が決まったスリーマイル島原発はペンシルベニア州の州都ハリスバーグの近郊、サスケハナ川の中州(島)に位置します。1979年3月、2号機で、機器の故障と人為的ミスで冷却水が失われ炉心溶融が発生。多くの地域住民が避難しました。事故後は1号機のみが稼働していました。
(「しんぶん」赤旗2017年6月2日より転載)
東京電力は6月1日、福島第1原発1~4号機建屋周囲の井戸(サブドレン)などからくみ上げた汚染地下水の浄化設備で同日未明、処理途中の水約2・7トンが漏えいしたと発表しました。
東電によると、漏えい箇所は、放射性物質を取り除く吸着塔の配管接合部。漏れた汚染水は10メートル×3メートル、深さ5センチなど計四つの水たまりになりました。堰(せき)内にとどまっており、外部には漏れていないといいます。
水たまりの表面線量は、空間線量と同等。汚染水に含まれる放射性物質濃度は、セシウム134が1リットル当たり約5・7ベクレル、セシウム137が同約41ベクレル、全ベータ(ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質)が同約120ベクレル、トリチウム(3重水素)が同約1000ベクレルでした。
漏えいがあった箇所は今年4月、部品を交換していました。東電は、施工に問題があった可能性があるとみています。
(「しんぶん」赤旗2017年6月2日より転載)