内閣府の原子力委員会(岡芳明委員長)は4月26日、原子力政策の長期的な方向を示す「原子力利用に関する基本的な考え方」案を了承しました。委員会のホームページに掲載され、27日から意見公募を行います。
「考え方」案は、東京電力福島第1原発事故によって著しく高まった「原子力への不信・不安に対して真摯(しんし)に向き合い、社会的信頼を回復していくことが必須」と指摘。政府や電力会社、研究開発機関などが「事故を契機に生まれ変わる必要がある」として、今後の原子力利用にあたる際の課題をまとめています。
基本目標として8項目を掲げ、国や電力会社などに対し、「ゼロリスクは有り得ず、事故は必ず起こりうるとの認識」で安全性向上に努めるべきだとしています。また、「原発立地地域に限らず、消費地を含めて国民全体がステークホルダー(利害関係者)として再認識された」と強調し、科学の不確実性やリスクも明らかにし正確で客観的な事実に基づいた対話を進めるべきだと提案しています。一方、「原子カエネルギー利用は有力な選択肢」だと、原発を容認しています。
(「しんぶん」赤旗2017年4月27日より転載)
常陽の申請「不備過ぎる」・・審査保留で規制委員長
再稼働に必要な審査の申請内容に不備が指摘され、審査が保留された日本原子力研究開発機構の高速実験炉「常陽」(茨城県)について、原子力規制委員会の田中俊一委員長は4月26日の定例記者会見で「あまりに不備過ぎて、本当に福島の事故を反省した上で申請しているのかというほどひどい」と厳しく批判しました。
原子力機構は3月、常陽の審査を申請。熱出力は14万キロワットですが、10万キロワットを超えると住民の避難対策が必要な範囲が半径5キロ圏から同30キロ圏に拡大するため、10万キロワットに制限して運転する方針を示しました。規制委は25日の審査会合で「出力は審査の大前提。設備と整合しなければ審査できない」と指摘し、審査を保留しました。
田中委員長は「ナナハン(排気量750CC)のバイクを運転するが、30キロでしか走らないから(原付き免許で運転を認めてほしい)という話。許すわけにはいかない」と原子力機構の姿勢を批判しました。
(「しんぶん」赤旗2017年4月27日より転載)