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高浜再稼働容認の大阪高裁決定・・福島事故以前に逆戻り & 福井県は再稼働許すな・・高浜原発 県民会議など要請

 関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転を差し止めた昨年3月の大津地裁の仮処分決定を覆す決定を大阪高裁が3月28日、言い渡しました。

 高裁決定の特徴は、原子力規制委員会の新規制基準を「解明された事故の教訓に加え、最新の科学的・技術的知見などを検討し、不合理なものとはいえない」と持ち上げ、住民側の主張を退けていることです。大津地裁が、新規制基準に適合しても「直ちに公共の安寧の基礎となると考えることをためらわざるを得ない」と判断したことと正反対です。

 高裁決定には、関電の地震や津波の想定や対策、避難計画などについて「規制委は安全性が新規制基準に適合していることを確認した」から「不合理な点はない」などという行政追随の言い回しが目立ちます。基準に“合格”すれば問題ない、という新たな「安全神話」を後押しするもので、安倍政権の態度と同じです。

 住民側が、規制の対象にしていないと問題にした避難計画を高裁決定は「取り組み姿勢や避難計画の具体的内容は適切」と容認しています。高浜原発の事故を想定した昨年8月の避難訓練で、まともに住民が避難できなかったことが浮き彫りになっています。安全性や住民の不安を置き去りにする決定です。

 また、安全確保対策を講じたことで「炉心の著しい損傷や周辺環境への放射性物質の異常な放出に至ることは、まず想定しがたい」とまでいい、過酷事故は起きないとしてきた東京電力福島第1原発事故以前に逆戻りしています。

 大津地裁が「道半ば」とした福島事故の原因究明も、高裁決定は「末解明な部分が残されている」としながら「基本的な事象は明らかにされている」と結論づけ、損傷設備や損傷箇所の解明は基準策定に「必要ではない」としています。事故から6年たち、福島では約8万人が避難を強いられ、第1原発では溶け落ちた核燃料の状況さえ確認できずにいます。二度と過酷事故を起こさないために何が必要かの立場に立つべきです。(三木利博)

(「しんぶん」赤旗2017年3月30日より転載)


福井県は再稼働許すな・・高浜原発 県民会議など要請

 関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転差し止めを命じた大津地裁の仮処分決定をめぐる抗告審で大阪高裁(山下郁夫裁判長)が差し止めを取り消した不当決定を受け、原発反対県民会議などは3月29日、再稼働を認めないよう福井県に要請しました。

 県民会議の中鴬哲演代表委員などが県庁を訪れ、日本共産党の佐藤正雄県議が同席。県側は山田清智原子力安全対策課参事が応対しました。

中鴬氏らは、西川一誠知事がこの要請に応対せず、大阪高裁の決定には「妥当な判断」としている態度に対し、「県民の声を聴く構えをもっているのか」「実効ある避難計画がポイントになっているのにスルー(素通り)した決定を『妥当な判断』とは、非常に怒りを覚える」などと批判しました。

 要請文では①基準地震動か過小評価されている②避難計画の実効性も住民理解もない―などと指摘しています。

 中蔦氏らは「今度の決定で、いい気になり、福井県の同意で再稼働できると思ってもらっては困る」「このまま次々再稼働となれば、第2のフクシマは必然だ」と強調しました。

 同日、関電にも申し入れました。

(「しんぶん」赤旗2017年3月30日より転載)